Netflixラインナップ発表イベント開催 長編映画強化にアニメから実写に広がるオリジナル作品

Netflix Festival Japan 2021

 グローバル配信の大手Netflixは11月9日、10日の2日間、都内にて発表イベントを開催した。2021年-2022年に配信する日本発作品を中心に紹介するものだ。今回は「Netflix Festival Japan 2021」のタイトルで1日目を「アニメDay」、2日目を「ライブアクションDay」とした。
 アニメをテーマにした発表イベントはこれまでも国内で何度も開催されたが、2日目の実写作品だけで4時間を超えるボリュームは今回が初めてである。2日間となることで、アニメと実写が合わせた作品のボリュームが急拡大していることが窺える。アニメが注目されがちだった日本発のオリジナル作品で、実写にも大きくギアがかかり始めたことを感じさせるものだ。

 イベントは日本発の作品の強化を強調する一方、Netflix全体と日本での新しい動きも明らかにした。ひとつは長編映画への言及だ。イベント冒頭でビデオレターにて挨拶をした共同CEO・最高コンテンツ部門責任者テッド・サランドス氏、その後に登壇したコンテンツ部門バイス・プレジデント坂本和隆氏も「日本発の長編映画を拡充する」と特に強調している。
 かつてNetflixの配信番組はシリーズ作品が中心で、映画は他社スタジオからのライセンス調達が多かった。しかし近年ハリウッドの大手スタジオが自社プラットフォームを次々に立上げて、Netflixへの長編映画供給は細っている。その対策もあり、Netflixは拠点となる米国ではここ数年で長編映画の製作・獲得ピッチを上げている。
 それが日本にも広がる。特に日本は劇場興行でも邦画がシェアの半分を占める国である。いまやNetflixにとってアジア・太平洋で最大の市場となった日本攻略はマーケットとしての重要性も増しており、海外向けプラス日本市場獲得のために長編映画がかかせないというわけだ。

 今回は長編映画ではすでに制作が発表されている『浅草キッド』、『桜のような僕の恋人』などの紹介に加えてカンヌ映画祭で『万引き家族』でグランプリを獲った是枝裕和監督がNetflixと共に新作映画を制作するサプライズの発表があった。
 アニメでも石田祐康監督の『雨を告げる漂流団地』が目玉企画との位置づけされていた。これまではシリーズアニメが大半だったNetflixオリジナルアニメに、今後長編アニメが増える可能性も高そうだ。

 アニメは引き続き注力分野となっている。サランドス氏の挨拶でも「アニメが世界で非常に成功している」と言及している。
 この日、発表された情報には、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』『賭けグルイ双』『BEASTERS 新章』『TIGER&BUNNY2』、『名探偵コナン』のスピンオフ『犯人の犯沢さん』『ゼロの日常』などの世界独占配信があった。また『七つの大罪』のスピオフ『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ』をNetflix映画として制作することも発表した。これまで成功した作品を独占タイトルとして囲い込む動きが目立った。
 そのなかでが全6話で2022年1月28日から全世界独占配信する磯光雄監督の『地球外少年少女』の行方は気になるところだ。現在並行して進めるオリジナル企画への試金石ともなるだろう。

 また日本発以外の作品で、日本に関連するケースも増えている。「アニメDay」では日本アニメを原作とした実写版『カウボーイビバップ』、「ライブアクションDay」では実写版『ワンピース』、『機動戦士ガンダム』が紹介された。『カウボーイビバップ』では音楽に菅野よう子、『ワンピース』では主要キャラクターを演じる役者に日本の俳優・新田真剣佑が参加する。作品づくりで国境が急激に薄まっていることを示している。Netflixは日本の映画・アニメのスタッフの位置づけも変えそうだ。

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