2021年4月28日に発表されたソニーグループの21年3月期決算から、グループの手がける日本アニメ関連事業の売上高が明らかになっている。ソニーグループは事業分野ごとの売上高、さらに細かなセグメントも一部開示している。
日本アニメ関連は音楽事業内の映像メディア・プラットフォーム事業にあたる。ソニー・ミュージックの子会社アニプレックスとその関連会社の売上げだ。近年の急激な業績拡大もあり、数年前より独立したセグメントとして公表されている。
2021年3月期(20年4月~21年3月)のこの売上げは2541億2100万円と、前年比で18%増、過去最高に達した。音楽事業の世界全体売上高は前年比11%増の9399億円。全体の1/4超がアニメになる。さらにソニーグループはゲームアプリやアニメなどの映像メディア・プラットフォームからの利益が大幅に増加し、営業利益の3割弱を占めるとしている。ここからもアニメ事業拡大が窺われる。
とりわけ21年3月期は、アニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットの影響が大きかった。音楽事業の好調の理由としてストリーミング売上の成長と共に言及されている。
しかし今期(22年3月期)の見通しは慎重だ。音楽事業全体で売上高5%増9900億円を見込むものの営業利益は13%減の1620億円としている。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の反動減を見込むためだ。
吉田憲一郎社長兼CEOの経営方針説明会でも、「One Sonyを体現するもの」としてアニメに言及があった。アニメは、音楽部門だけでなく、ゲーム、音楽、映画にまたげる事業の位置づけだ。
今後の方針としてアニメにおいてもダイレクト・トゥ・コンシューマー(DTC)、消費者に直接届けるビジネスに力をいれる。アニメ配信のファニメーション(Funimation)のプロモーションを強化し、PlayStation Networkを活用する。『鬼滅の刃』のモバイルゲーム、PS4向けのゲーム制作も視野にいれている。
中国市場拡大も重大事業になる。すでに現地のアニメ・ゲームの大手Bilibiliに4億ドルを出資して資本、業務提携をしたが、さらに現地企業との関係強化を目指す。