エンタメ大手のKADOKAWAは、コロナ禍の逆風のなかで2021年3月期を増収増益で乗り切った。通期連結売上高は2099億4700万円と前年比2.6%増。営業利益は136億2500万円、経常利益は143億6900万円、当期純利益は95億8400万円、それぞれ68.5%増、63.5%増、18.4%増になる。
電子書籍に牽引された出版事業が伸びたほか、ゲームも好調であった。一方でライブイベントの中止の影響が大きく、IT投資も大きかったWebサービス事業は減収減益と弱かった。
出版事業は売上げ1295億7600万円(10.5%増)、営業利益は128億4100万円と前年から倍増となった。
好調を支えるのは引き続き電子書籍で売上は前年比29.6%増だ。自社ストアの「ブック☆ウォーカー」のユーザーが増加した。国境を越えたビジネスに適していることもあり、海外向け売上も前年比22%と急伸している。
一方で紙書籍も堅調だった。前年比6.8%増と近年の減少傾向から反転した。コミックス、ラノベ、児童書が好調としている。
映像事業はアニメが好調だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大が映画配給、ムビチケ販売、スタジオ運営などに影響を与えた。映像事業全体で80億円の減収要因となり、売上げは313億1400万円(8.2%減)だった。一方で営業利益は7.1%増で、アニメのライセンスが好調だった。
アニメでは『Re:ゼロから始める異世界生活』、『ひぐらしのなく頃に 業』、『デカダンス』、『くまクマ熊ベアー』が海外販売で主力になった、『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』、『この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズはゲーム向けで貢献した。
ゲーム事業は、業界全体の市場拡大の波に乗った。海外販売、リピート販売、共同・受託開発が業績を支えた。主力タイトルは『ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX』、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』、『DARK SOULS』。売上高は166億3600万円(16.9%増)、営業利益は27億4400万円(114.6%増)になる。
ニコニコの運営が中心のWebサービス事業は減収減益と厳しかったが、黒字は維持した。売上高220億800万円(11.0%減)、営業利益20億9600万円(24.8%減)。ニコニコのプレミアム会員の減少は止まらず3月末153万人となった。大型イベントのニコニコ超会議とAnimelo Summer Live」はリアルイベントの開催を中止した。