アニメ製作大手のIGポートは、2020年10月9日に2021年5月期第1四半期の決算発表をした。アニメーション制作の納品の端境期にあたったことから、連結売上高は11億2700円と42.9%減と大幅減収となった。営業利益は1500万円のマイナス、経常利益はプラスマイナスがなく、当期純損失が1900万円である。
第2四半期以降に劇場用大型作品などの売上計上を予定しおり、通期では黒字となる見込みだ。通期連結業績予想は変更がなく、売上高96億2100万円(6.2%増)、営業利益は2億3800万円(15.6%減)、経常利益は2億5500万円(14.6%減)、当期純利益1億5000万円を見通している。
映像制作事業の中心は『ガル学。~聖ガールズスクエア学院~』、『はなかっぱ』など。売上高1億3800万円(89.5%減)、営業損失が1億7300万円だった。
期中にはTVアニメ『ドラゴン、家を買う。』、オリジナルアニメ『海賊王女』、劇場アニメ『ARIA The CREPUSCOLO』、『銀河英雄伝説 Die Neue These』続編の製作発表が続いた。現在はこうした作品も含めた制作が続いているとみてよいだろう。
版権事業は増収増益であった。売上高は5億4800円(49.9%増)と大きく伸びた。積極的な製作投資のため減価償却費が増えているが、営業利益も1億4500万円(18.0%増)を確保している。版権事業の主要作品は『ヴィンランド・サガ』、『攻殻機動隊』、『進撃の巨人』、『B: The Beginning』、『ハイキュー!!』などである。
また今期からテレビアニメ『GREAT PRETENDER』の製作母体Great Pretenders 製作委員会を特定子会社化している。委員会の出資金のうちプロダクション I.Gが40%、ウィットスタジオが15%とグループで全体の過半数を占めるためだ。プロダクション I.Gは作品の収益管理をする製作委員会の幹事を、ウィットはアニメーション制作を担当するなど事業全体に占める役割も大きい。
IGポートはこれ以外にも、現在、CYBORG009 CALL OF JUSTICE 製作委員会、魔法使いの嫁 製作委員会を特定子会社として連結決算にしている。さらに銀河英雄伝説 製作委員会、蒼穹のファフナー THE BEYOND 製作委員会、甲鉄城のカバネリ 海門決戦 製作委員会、ヴィンランド・サガ製作委員会、攻殻機動隊 SAC_2045 製作委員会を持分適用法会社とする。
近年の積極的な製作投資の結果であるが、こうした二次収益の拡大が版権事業の安定した利益を生み出している。
出版事業の売上高は3億7800万円(56.9%増)、営業利益は3800万円と大きく伸びた。新型コロナウイルスの影響によるデジタルコンテンツの堅調もあり、電子書籍関連の売上が伸びている。なかでも「異世界モノ」が好調であった。
コミック単行本では『リィンカーネーションの花弁』、『転生貴族の異世界冒険録』が好調だった。