2018年の放送番組輸出16%増の519億円、アニメが8割超

ファイナンス決算

 総務省は日本の放送コンテンツ輸出の概要をまとめた「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2018年度)」を2020年6月2日にリリースした。調査は総務省が毎年まとめるもので、国内の放送番組の海外輸出総額を明らかにしている。今回は2018年の実績となる。
 近年はアニメ番組の海外需要の高まりから輸出が急伸しており、2018年も引き続き市場が拡大している。また引き続きアニメが主要ジャンルとなっているのが特徴だ。

■5年で8.5倍、インターネット配信権の輸出
 2018年の海外輸出は全体で519.4億円、前年比16.8%増と二桁の高い伸びとなっている。5年前の137.8億円と比較すると3.7倍にもなる。
 海外輸出は「番組放送権」「ビデオ・DVD化権」「インターネット配信権」といった映像そのものだけでなく、「商品化権」、さらに海外で新たな番組を制作する「番組フォーマット・リメイク権」などから構成される。

 ビデオ・DVD化権以外はいずれも成長トレンドだが、なかでも大きいのはインターネット配信権である2018年は5年前(2013年)の8.5倍の173.9億円に達した。全体の1/3を占める。映像市場で勢いを増す映像配信ビジネスの存在感の大きさを示した。
 また2013年の32.1億円から165.3億円に成長した商品化権も大きい。このなかには取引の大きいスマホアプリゲーム化権も含まれている。
 金額が41億8000万円、全体に占める割合8%程度と小さいが、番組フォーマット・リメイク権も成長している。5年間で4倍と、とりわけバラエティ番組では重要な分野である。
 逆に伸び悩んでいるのはビデオ・DVD化権だ。金額で10.4億円と少なく、5年間でほぼ横ばいを続けている。番組放送権も2017年まで緩やかなに成長してきたが、2018年は6%減と下げに転じた。

■全体の8割超、輸出の主役は引き続きアニメ
 毎年、この調査で注目されるのが、アニメの存在感の大きさである。2018年度も輸出の81%405.3億円がアニメで全体の8割を超える。
 また地域別では、中国を含むアジアが全体の半分50.5%、北米が30.2%。合算すると両地域で8割を超える。アジアと北米向けのアニメ輸出が支える日本の放送コンテンツ海外輸出の大きなイメージがここから描ける。

 「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2018年度)」は、総務省の公式サイトから無料でダウンロード可能だ。報告書では、放送局の形態やプロダクション別の金額や地域別、ジャンル別の動向も掲載されている。

「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2018年度)」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu04_02000136.html

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