サウジアラビアと東映アニメ共同制作長編アニメ、中東と日本で公開

「ジャーニー」

 東映アニメーションが、サウジアラビアのマンガ・プロダクションズ(Manga Productions, Inks)と共同制作で進めてきた長編アニメ映画プロジェクト『The Journey』がいよいよ完成する。マンガ・プロダクションはこのほど、中近東・北アフリカ(MENA)と日本の両地域で有力企業と配給契約を結んだことを明らかにした。
 MENA地域では、中東最大の映画配給会社VOX Cinemasが配給を担当する。大手企業との契約で、MENA地域での大ヒットを狙う。また日本では東映系の配給会社ティ・ジョイと契約を結んだ。 
 作品は現在ポストプロダクションに入っており、5月にフランスで開催されるカンヌ国際映画祭でプレミア上映を予定している。その場が世界デビューとなりそうだ。公開はその後と見ていいだろう。

 東映アニメーションは、数年前よりマンガ・プロダクションズと広範囲の提携をしている。サウジアラビアの若者を招いたアニメ制作トレーニングなども実施する。
 両社が共同制作した初のテレビアニメシリーズ『Future’s Folktales(未来の昔話)』は、今年1月から中東の大手テレビ局MBC 1で放送開始、映像プラットフォームの「シャーヒド」でも配信されている。最初の2話だけで1200万人の視聴数を獲得した。

 『The Journey』は、マンガ・プロダクションズが主要なコンセプトとアイデアをだした。中東とアラビア半島の古代文明に題材を採っている。映像は日本のアニメスタイルで、監督には劇場版『名探偵コナン』の静野孔文氏を、キャラクターデザインはゲーム「逆転裁判」シリーズの岩元辰郎氏、音楽は『犬夜叉』の和田薫氏を起用している。
 アニメーション制作は、東京とサウジアラビの首都リアドに設けられたスタジオでも制作された。日本のアニメスタイルで作り、世界のキッズ・ファミリーに向けて送り出す。
 日本とサウジアラビアという異色の国際共同制作が生み出す長編アニメが、世界にどう受け入れられるのか。日本アニメの今後を占ううえでも重要な作品になりそうだ。

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