AbemaTV、ビデオパス独占 湯浅政明総監督「SUPER SHIRO」10月14日配信開始

配信

 動画配信だけで展開するオリジナルアニメの潮流が、複数のプラットフォームに広がってきた。10月10日に監督・浜崎博嗣、ライデンフィルムのアニメーション制作によるアニメシリーズ『無限の住人-immortal-』がAmazon Prime Videoにて独占配信を開始した。さらに10月14日からは、『SUPER SHIRO』がAbemaTV、ビデオパスにて独占配信をスタートする。両作品ともテレビ放送がない中でのウェブでの独占配信だ。
 近年、アニメ製作予算の大半を配信権から得る配信オリジナルアニメが注目されている。しかし実際は、配信オリジナルの大半がNetflix向けというのが実情である。テレビ放送もしない独占度の高い作品はコンテンツ獲得資金が豊富なNetflix以外は投資しづらいとの事情があった。それでもアニメは有力コンテンツであるし、Netflixに対抗する以上は全くセロとはいかないというのが今回のプラットフォームだろう。

 なかでも話題は、『SUPER SHIRO』である。1992年にスタートしたテレビアニメ『クレヨンしんちゃん』に登場する犬のキャラクターのシロを主人公にしたスピンオフである。人気アニメのスピンオフ、かつストーリーも違った展開となれば視聴者に対する引きは強い。
 さらに総監督には湯浅政明を起用、アニメーション制作は近年の湯浅作品を手がけるサイエンスSARUが担当する。『クレヨンしんちゃん』のシンエイ動画と異なるのも話題で、かつ挑戦的な企画となっている。湯浅監督は『DEVILMAN crybaby』のヒットやアヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(グランプリ)などで世界的に知られている。『SUPER SHIRO』も今後は海外へ、といった展開もあるかもしれない。

 しかし本作でとりわけ注目されるのは、配信がAbemaTVとビデオパスと国内ふたつの独占配信となったことだ。『クレヨンしんちゃん』のテレビシリーズは、AbemaTVの大株主のテレビ朝日の作品である。そうしたつながりから今回AbemaTVというのは理解出来る。
 それにさらにビデオパスが加わるのは、やはりNetflixやAmazonに較べて国内配信プラットフォームの資金力が弱いことを感じさせる。ユーザー層の異なる2社が手を組むことで、外資系プラットフォームに対抗するのかもしれない。
 国内プラットフォームによるオリジナルアニメが、今後も増えて行くか未知数だ。しかし『SUPER SHIRO』は、ひとつの可能性を示している。

『SUPER SHIRO(スーパーシロ)』公式サイト
https://www.shinchan-app.jp/super-shiro/
原作:臼井儀人(らくだ社)
総監督:湯浅政明
チーフディレクター:霜山朋久
脚本:うえのきみこ
アニメーション制作:サイエンスSARU

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る