国内アニメ大手の東映アニメーションの業績が、好調を維持している。2019年1月28日に発表された2019年2月期第3四半期連結決算が、引き続き前年比で高い伸びを見せている。
連結売上高は418億2100万円(21%増)、営業利益は126億5900万円(45.4%増)、経常利益は130億4400万円(43.2%増)、当期純利益は92億7600万円。とりわけ利益の伸びが大きかった。
このうち映像製作・販売事業は売上高146億1500万円(17.6%増)、営業利益は40億8700万円(90.8%増)。収益率の高い海外映像販売の伸びが利益を引き上げた。中国向けの映像配信権の販売本数が増加、北米向け映像配信権の販売も好調。映像配信権は国内も好調だった。
製作では『ドラゴンボール超 ブロリー』の製作収入が計上され映画部門が大幅増収、放映本数が減少したテレビアニメ部門は大幅な減収だった。コンテンツ部門も前年の『美少女戦士セーラームーンCrystal』のブルーレイ・DVDに相当するものがなく、大幅減である。
版権事業は会社全体の利益部門となっている。売上高は226億3700万円(27.3%増)、営業利益は106億1700万円(同26.7%増)。
国内版権は、アプリゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や『ドラゴンボール レジェンズ』が主要タイトルだった。また遊技機の大口契約が複数あったことも増収につながった。
海外版権は『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』、それに『ドラゴンボール ファイターズ』といった家庭用ゲームも堅調、「ドラゴンボール」シリーズの商品化権が欧米で好調だった。さらに『ドラゴンボールレジェンズ』の配信が開始したことも大きかった。「ドラゴンボール」の貢献が高い年度と言えそうだ。
こうした好調を受けて、東映アニメーションは通期連結業績予想を上方修正した。売上高は480億円から535億円となり、前年比では16%の増収だ。同社にとって年間売上高500億円突破は初、アニメ企画・制作の企業としてもかつてない水準である。
営業利益は120億円から150億円、経常利益は123億円から153億円、当期純利益は85億円から102億円にそれぞれ引き上げられた。これまでも売上高と利益で過去最高を見込んでいたが、伸び率がさらに大きくなる。
業績予想の変更について東映アニメーションは、ゲーム化権販売の好調を挙げる。『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』などが国内外でこれまでの見通しを上回って推移している。第4四半以降も、この勢いが続くと判断した。
東映アニメーションの成長が続く一方で、親会社にあたる東映とのねじれ関係が生まれる。東映の2018年2月期の連結売上高は1243億1700万円だが、このなかには連結子会社とする東映アニメーメーションの売上高も含まれる。東映単体の売上高は446億円であった。
2019年2月期は、子会社である東映アニメーションが親会社の東映を売上高でかなり上回る可能性が高い。親子逆転自体は問題ではないが、グループ内でのアンバランスは今後の課題になりそうだ。