2018年10月15日から18日まで、フランス・カンヌにて世界最大の国際番組見本市MIPCOMが開催されている。期間中は世界各国から制作会社、放送局、配信会社、映画会社などの関係者が集まりビジネスミーティングを重ね、その成果も発表される。そのなかには日本企業の姿も多い。
大手放送局のフジテレビはMIPCOM会場にて、米国と中国での新たな取り組みを発表した。米国とは日本の人気ドラマ『電車男』のハリウッド・リメイク版の製作を決定。中国とはSMGピクチャーズとの関係を強化する。
『電車男』はインターネットの匿名掲示板から誕生した感動ストーリーとして、2004年頃から一大ブームとなった。オタクの青年が電車のなかで偶然知り合った女と結ばれるまでが語られた。2005年にはドラマ化され、フジテレビで放送されている。
今回これを『HEY!レイモンド』のフィル・ローゼンタールが総指揮、『ザ・リング』『LEGO ムービー』のロイ・リーがプロデュース、アダム・シャンクマン監督で米国版を製作する。フジテレビからもコンテンツ事業室の久保田哲史がプロデューサーとして参加する。
フジテレビと製作チームが知り合ったきっかけは、 Amuse Group USAが主催する「J-CREATION: A FIRST LOOK SHOWCASE」だという。このイベントは。毎年ロサンゼルスで開催され、日本のエンターテインメント・コンテンツをハリウッド企業に紹介してきた。今回そうした試みが、日本ドラマ初の米国リメイク版の実現という大きな成果につながった。
完成時期や、リリースメディアなどは明らかにされていない。今後の進展と、その情報を待つことになる。
同じMIPCOMの会場で発表した中国との事業は、フジテレビと中国のメディア大手SMGピクチャーズと共同制作するものだ。今後3年間で2作品を製作することで合意した。
SMGピクチャーズは、中国・上海に拠点を持つ巨大メディアグループSMGの映像製作事業会社にあたる。ドラマや映画の製作と投資を目的に2007年に設立された。
フジテレビとSMGピクチャーズは、2015年11月に戦略的パートナーシップを締結している。これまで、にドラマ『プロポーズ大作戦』、『デート~恋とはどんなものかしら~』の中国版を共同製作している。今回はこのパートナーシップをさらに強化するのが狙いだ。
さらにもうひとつ新たな取り組みも掲げる。フジテレビ映画の中国配給を進めていく。日本の実写映画は、これまでアニメ映画に較べると中国で興行収入がだせないとされてきた。しかし2018年は、『万引き家族』が日本実写映画過去最大のヒットになり、『DESTINY 鎌倉ものがたり』も堅調だ。こうした追い風もあり、今後は映画においてもフジテレビとSMGピクチャーズとの連携が広がるかもしれない。