日本企業とも馴染みが深い米国の配給会社2社が、アニメ映画の配給で手を組むことになった。2018年10月3日(現地時間)、Shout! Factoryとイレブンアーツ・アニメスタジオ(ELEVEN ARTS Anime Studio)は、長編アニメ配給で提携をすると発表した。
今後両社は、複数年にわたり日本の新作劇場アニメの北米配給に共同で取り組む。具体的なタイトルは明らかにされていない。
Shout! Factoryは、北米の映画配給会社のひとつ。2002年に設立後、サスペンスやホラー、キッズなどのジャンル映画を多く扱ってきた。『パワーレンジャー』や「トランスフォーマー」シリーズなども手がけるが、これまでは日本アニメにそれほど馴染みがあったわけでない。
しかし近年は成長を続ける大人向けの長編アニメーションに関心を深めている。レミ・シャイエ監督の仏・デンマーク共同製作の『Long Way North』、中国の『紅き大魚の伝説』などの配給権を獲得している。
その一環として日本作品では『この世界の片隅に。』や『デジモンアドベンチャー tri.』の北米配給をしている。今後もこうした取り組みを強化することになる。
しかしもともとDVDやBlu-rayのホームビデオを得意としてきたShout! Factoryは、劇場配給のノウハウが不足している。2017年の『この世界の片隅に。』も小規模な配給にとどまり、ヒットに至らなかった。そこで『この世界の片隅に。』の際にも協力を受けたイレブンアーツと本格的に提携することを選択したといえる。
イレブンアーツはロサンゼルスに拠点を持つ映画配給会社で、アジア映画を得意としてきた。近年はマーケットが広がる日本アニメに力を入れており、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ、「劇場版 魔法少女まどか マギカ」などのヒット作がある。ELEVEN ARTS Anime Studioは、日本アニメに特化したブランドとなっている。
デジタルシネマの普及とジャンルの盛り上がりで、日本アニメの米国公開が近年は拡大傾向にある。2社の取り組みは、こうした状況も背景にしていそうだ。