2018年9月25日に、東京港区・虎ノ門ヒルズメインホールにて、第31回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見が開催された。国内最大級の映画祭でもあり、国内外からワールドプレミアも含み期間中約200本の映画が上映される。
映画祭の目玉となるコンペティション部門には、昨年を大きく上回る世界109ヵ国・地域から1829本のエントリーがあり、16作品が選ばれた。日本からは今泉力哉監督『愛がなんだ』、そして阪本順治監督『半世界』が選出された。会場には両監督と『愛がなんだ』の主演・岸井ゆきの、そして映画祭アンバサダーの松岡茉優が登壇し、記者会見を盛り上げた。
そしてもうひとり登壇したのが、アニメーション監督の湯浅政明。映画祭は2014年以来、毎年ひとりのアニメーション監督にスポットを当て、特集を組んできた。「庵野秀明」「富野由悠季」「細田守」「原恵一」と続いたが、今年は湯浅政明監督を取り上げる。
昨年はアヌシー国際アニメーション映画祭、オタワ国際アニメーション映画祭で相次いでグランプリを獲り、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞などで注目を集める監督のこれまでを振りかえる。監督自身は、昨年がかつて同じ作品に携わったことのある原恵一監督特集だったので、冗談で今年は自分かもと言っていたら実現したと驚く。
湯浅監督特集は、選りすぐりのラインナップだ。映画監督デビュー作となった『マインド・ゲーム』、そして『夜明け告げるルーのうた』、『夜は短し歩けよ乙女』はもちろん、Netflix独占配信の話題作『Devilman crybaby』は全話240分を一挙上映する。
映画祭特集ならではのレアな作品も多い。クラウドファンディングの資金調達で実現した2013年の『キックハート』、オムニバス映画『Genius Party』の一編であった「夢みるキカイ」。『スペース☆ダンディ』の一編は各話ごとにクリエイターを超えた異色のTV作品、『アドベンチャー・タイム』「フードチェーン」は米国に人気番組の1話丸々を湯浅監督とそのスタジオであるサイエンスSARUが担当したというもの。
『クレヨンしんちゃん』と『ちびまる子ちゃん』は、湯浅監督したパートを上映するものだ。アニメーターから演出に創作を広げた際の湯浅監督の初期の仕事が確認出来るだろう。
いずれの上映にも、これまでの特集と同様に監督のQAの時間が取られるとのことだ。ファンには堪らないものになる。
監督は「こんな作品にも参加していたんだと思っていただけるのでは」と。そして「すごくいいチャンスをいただきました。また観たことのない作品もあると思います。是非、観ていただければ」と話す。
また映画祭の期間中、10月28日には現在制作にとりかかっている次回作についての発表もあるという。こちらも楽しみだ。
東京国際映画祭では、この他にもいくつものアニメーションの上映が用意されている。映画祭の華のひとつクロージングにアニメーション3部作の最終章『GODZILLA 星を喰う者』が、また主要部門のひとつJapan Now部門には『ペンギン・ハイウェイ』(石田祐康監督)もある。特別招待作品の『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』は、ここがワールドプレミアになる。
また5月になくなられた高畑勲監督の特別上映会に、劇場監督デビュー作『太陽の王子 ホルスの大冒険』と最後の映画『かぐや姫の物語』が。映画祭とコラボ企画では「『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』上映会とDJパーティー」、「JAPAN ANIME MUSIC SHOWCASE 2018」。様々なかたちで、アニメが映画祭を盛り上げる。
第31回東京国際映画祭
https://2018.tiff-jp.net/ja/
[東京国際映画祭 上映アニメーション作品]
■クロージング作品
『GODZILLA 星を喰う者』(静野孔文/瀬下寛之監督)
■アニメーション監督 湯浅政明の世界
『夜明け告げるルーのうた』
『夜は短し歩けよ乙女』
『マインド・ゲーム』
『Devilman crybaby』
*ミッドナイト・フィルム・フェス!
「湯浅政明 自選短編集 1992-2014」
『アドベンチャー・タイム』「フードチェーン」
『スペース☆ダンディ』第16話「急がば回るのがオレじゃんよ」
『キックハート』
『Genius Party』「夢みるキカイ」
『ぶりぶりざえもんの冒険』(本郷みつる監督)
「風雲編」「飛翔編」「電光編」
『さくらももこワールド ちびまる子ちゃんの好きな歌』(須田祐美子/芝山務監督)
「1969年のドラックレース」「買い物ブギー」
TVシリーズ作品OP集
■日本映画スプラッシュ部門
『21世紀の女の子』「EDアニメーション」(玉川桜監督)
■特別招待作品
『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』
「Case.1 罪と罰」「Case.2 First Guardian」(塩谷直義監督)
■高畑勲監督特別上映会
『太陽の王子 ホルスの大冒険』
『かぐや姫の物語』
■Japan Now部門
『ペンギン・ハイウェイ』(石田祐康監督)
■ユース部門
『大当たり空の円タク』(加藤禎三監督)
『ぼくの名前はズッキーニ』(クロード・バラス監督)
[映画祭アニメーション関連企画]
■TIFF マスタークラス
「映像表現の今、そして未来」
安生健一
(オー・エル・エム・デジタル 技術顧問/SIGGRAPH Asia 2018 カンファレンスチェア)
塩田周三
(ポリゴン・ピクチュアズ 代表取締役
/SIGGRAPH Asia 2018 コンピュータアニメーションフェスティバルチェア)
越野創太(ソニーPCL/ディレクター)
■TIFF PLUS
・『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』上映会
& THUNDER STORM SESSION DJ Party
・JAPAN ANIME MUSIC SHOWCASE 2018
・「ドラゴンボール ファイターズ」 “超(スーパー)”マッチ
■日比谷オープニングイベント
『アナと雪の女王/家族の想い出』 (ケヴィン・ディーターズ/スティーヴ・ワーマーズ=スケルトン監督)
■“映像百家総攬”上映会
『ピーターラビット』(ウィル・グラッグ監督)
『ミッキーマウス!クリスマス&ハロウィーンスペシャル』
『ONE PIECE FILM GOLD』(宮元宏彰監督)