ポリゴン・ピクチュアズとグリーが資本業務提携、3DCG技術で共同開発 共同制作も視野

ポリゴン・ピクチュアズとグリー

 国内CGスタジオであるポリゴン・ピクチュアズ(PPI)が、IT大手のグリーと資本業務提携した。8月2日、グリーとPPIより発表された。PPIは第三者割当増資を実施、グリーがこれを引き受けた。出資金額は明らかにされていないが、グリーのポリゴン・ピクチュアズへの株式保有割合比率は4.76%になる。
 両社は共同で、ハイエンドな3DCGの技術基盤の共同開発を目指す。まずグリーのゲーム分野Wright Flyer Studios、ライブエンターテインメント分野Wright Flyer Live Entertainmentでの事業からとりかかる。Unreal Engine 4 を利用して、3DゲームやVTuberをより高品質に、効率的に展開する。コンテンツ共有システム「SC2:Sharing System for Cross-media Content」を共同開発する。CGで制作されたコンテンツの多角的な利用が大きなテーマになる。

 グリーはアニメやゲームの海外市場、またVTuber市場の成長に伴い、3Dアニメコンテンツ制作の需要が世界的に高まっているとしている。この結果、3Dアニメコンテンツの高品質化、効率的化、マルチ活用のニーズが増している。そこで今回の資本業務提携を通じて、グリーとPPIが互いのノウハウを持ち寄り、アニメ、ゲーム、AR/VR、VTuber、ライブなどで展開できる高品質な3DCGアセットを開発する。
 今後、両社グループによるアニメ、ゲーム、VR、VTuberの共同制作の検討も進めていくとしている。さらに大きな取り組みもあるかもしれない。

 ポリゴン・ピクチュアズは、国内最大規模のCGスタジオとして国内外で知られている。『GODZILLA 怪獣惑星』や『シドニアの騎士』、『トランスフォーマー ロボッツインディスガイズ』、『Lost in Oz』といった代表作がある。
 もともと海外プロジェクトの受託を得意としてきたが、近年は国内の自社プロジェクトに注目が集まる。しかし8月1日には、「スター・ウォーズ」シリーズの最新テレビアニメーション『Star Wars: Resistance』のアニメーション制作を発表した。PPIはもともと「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」シリーズの制作をしていたが、ルーカスフィルムがディズニーに買収されたタイミングで、一旦は「スター・ウォーズ」から離れた。これが再びPPIとなる。米国からのスタジオの評価の高さと同時に、PPIは引き続きグローバルでの制作受注する国境を越えた多角的なビジネスを目指していることがわかる。
 事業の多角化は国内でも進んでいる。2017年秋にはVRコンテンツの共同開発を目的に講談社と講談社VRラボを設立、2018年1月にはUnreal Engine 4を用いた次世代型3DCGモデル開発のエレメントファクトリーをヒストリアと設立している。グリーと取り組みもそうした流れのなかにある。

 一方で、グリーもアニメやCGなどのコンテンツ分野に意欲的だ。2016年夏にはゲームアプリも共同開発を目的に、トレーデイングカードゲームやアニメ、キャラクターのブシロードに約10%を出資、資本業務提携を結んでいる。また2017年には、住友商事と米国のコンテンツ配信会社イレーションと共に、日本アニメを活用した海外向けゲーム事業で合意している。
 こちらも広い分野のパートナーと新事業を起こしていきたいと、方向性が明らかだ。いわば今回の提携は、新分野やビジネス開発に積極的な同志の強者連合と言える。

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