Huluジャパンが米仏と共同製作、「神の雫」2023年に世界放送・配信

映画

 ワインをテーマにした世界的なヒットマンガ『神の雫』が、日本、米国、フランスの3ヵ国4社の国際共同製作で実写ドラマ化される。かねてより進められてきた撮影がこのほどクランクアップし、2023年に世界同時放送・配信されることがHulu Japanより発表された。
 当初は2022年のリリースを予定していたが、コロナ禍の影響で23年にずれ込んだ。ロケはフランス、日本、イタリアのほかタイでも実施され、約10ヵ月にも及んだ。番組は全8話を予定している。
 作品のタイトルは『神の雫/Drops of God』となり、原作で日本人の男性だった主人公・神咲雫はフランス人女性のカミーユとなる。雫のライバルであったワイン評論家・遠峰一青が新たな主人公となり、日本の俳優・山下智久が演じる。原作に人気マンガ、国際共同製作の大きな枠組み、人気俳優の起用と、大きな話題を呼びそうだ。

 『神の雫』は2004年に講談社のマンガ誌「モーニング」で、亜樹直(原作)とオキモト・シュウ(作画)が連載を開始した。14年で一度完結した後に、2015年からは『マリアージュ 〜神の雫 最終章~』が新たに始まったロングランシリーズである。
 高名なワイン評論家の息子である神咲雫が、亡くなった父が遺産として残したワインコレクションを巡る人々の思惑に巻き込まれ、やがてワインの魅力に目覚めるというものだ。作中で語られるワインに関する知識、含蓄も魅力になっている。日本だけでなくワインの本場であるフランスでも高く評価され、ワインブームを引き起こした韓国をんはじめ世界中で読まれている。

 今回の番組はそのドラマ性の高さと、人気に国内外番組製作会社は目をつけた。製作に参加するのは、ますは『ロスト・イン・スペース』や『カーニバル・ロウ』、『DEBRIS / デブリ』などテレビ・配信ドラマでヒット作を次々に生み出す米国のレジェンダリー・テレビジョン。Netflixオリジナルアニメシリーズ『パシフィック・リム:暗黒の大陸』の製作も手がけている。独立系配給会社のダイナミック・テレビジョン。そしてフランスの国営放送局フランス・テレヴィジオンである。
 日本からは日本テレビホールディングスの子会社で配信プラットフォームを運営するHulu Japanが参加する。国内ではHulu独占配信を予定する。
 ドラマのプラットフォームメディアは、従来の地上波放送、CATVから配信に広がるなど世界的に多角化が進んでいる。このなかで配信向けを想定した大型ドラマが世界で増えている。しかしグローバル企業に較べて資本力が劣る日本の制作は、世界を舞台に充分な競争が出来ていない。今回は国際共同製作の枠組を活用することで、これに対抗していくことなる。原作が日本であることも含めて、実写映画・ドラマでの今後のありかたを考えさせる作品になりそうだ。

Huluオリジナル「神の雫/Drops of God」
https://www.hulu.jp/static/drops-of-god
製作総指揮: クラウス・ジマーマン
監督: オデット・ラスキン
脚本: コック・ダン・トラン
制作: ダイナミック・テレビジョン
制作協力: アドライン・エンターテイメント

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