1979年にテレビアニメ『機動戦士ガンダム』でスタートした「ガンダム」シリーズが、誕生から40年に向かうなかで、新たな歴史を刻むことになりそうだ。シリーズを作るサンライズは、2018年7月5日(現地時間)、米国ロサンゼルス市で開催されたAnime Expo 2018にて、「ガンダム」シリーズの実写化企画を電撃発表した。
『パシフィック・リム』など世界的な大ヒット映画を多数製作してきたレジェンダリー(LEGENDARY)と実写映画化を目指して共同で取り組む。発表にあたっては、日本側からバンダイナムコホールディングス代表取締役社長の田口三昭氏、サンライズ代表取締役社長の宮河恭夫氏、そしてレジェンダリー側からは製作部門担当の副社長カール・ボイター氏らが参加した。
サプライズがあったのは、7月5日13時からロサンジェルス・コンベンションセンターに隣接するJWマリオットホテルに設けられた大ホールで開催されたサンライズパネルだ。「ガンダム」、「ラブイブ!」など人気作品が多いサンライズだけに、多くのファンが会場を訪れていた。
パネルの始まりは、『機動戦士ガンダムUC』シリーズの小形尚弘プロデューサー、『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』の谷口理プロデューサーが登壇した。ふたりが中心になり、サンライズの最新ライナップを紹介、『コードギアス』、『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』などが次々に登場する。
さらに話題はガンダムシリーズに移って行く。『機動戦士ガンダムNT』、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星』など。小形尚弘プロデューサーは、これまでの宇宙世紀ガンダムは0079から『逆襲のシャア』の0093まで中心だったが、今後は『UC』を起点に『F91』までの世界を拡大していくとの方針も説明した。
ここで一旦、パネルが一区切り。大きな発表があると告知があり、会場は緊張状態に。小形プロデューサーも、「本当に驚く発表だから」と熱く会場に話す。
そこで明らかになったのが、「ガンダム」シリーズの実写化だ。カール・ボイター氏と宮河恭夫サンライズ社長が登場して熱い握手を交わした。さらにバンダイナムコホールディングスの田口三昭社長も登壇して、プロジェクトに対する期待を述べた。トップエグゼクティブが並んだことからも、プロジェクトに対する期待の大きさも伝わる。
今回パートナーとなったレジェンダリーは、2005年に設立された映画製作会社だ。『パシフィック・リム』や『ダークナイト』など数え切れないほどのヒット作を世の中に送り出してきた。最先端の派手なVFXを用いた映像を得意とする。現在はユニバーサル映画と配給契約を結んでおり、実写「ガンダム」シリーズも実現すれば、ハリウッド大作として世界公開される期待が高まる。
レジェンダリーは日本のコンテンツの活用にも積極的で、すでに実写映画『GODZILLA ゴジラ』シリーズや2019年公開の『名探偵ピカチュウ』の製作実績がある。それだけに「ガンダム」の実写化企画も実現の可能性は低くないだろう。
とはいえ現在は脚本や監督も発表されていない。企画の初期段階とみられる。今後どのように展開していくが注目される。詳細は、決まり次第随時告知するとしている。
サンライズはすでに、『カウボーイビバップ』、『TIGER & BUNNY』の米国での実写企画を発表している。いずれも企画段階ではあるが、サンライズの目がハリウッドの実写映画ビジネスに向いているのは間違いない。そこからは、これまでと違う世界のファンを獲得したいとの意識も透けて見える。
日本アニメの巨人は、世界の映画業界に羽ばたけるのか。今回のガンダム実写企画が大きな鍵を握りそうだ。