細田守監督の3年ぶりの長編アニメーション映画『未来のミライ』が、世界で初めて観客の前で披露された。その貴重な場となったのは、世界の映画界の頂点ともいうべきフランスのカンヌである。カンヌ国際映画祭のシーズンのなかで、とりわけ重視されている「監督週間」の20作品のひとつに『未来のミライ』が選ばれた。現地時間の5月16日に世界初の上映となった。
監督週間はその時々に世界で最も注目される監督をセレクションする。特に作家性を重視することで知られている。今回はアニメーションからの選出は細田守監督、ただひとり。アニメーション映画で日本のみならず、世界を代表する存在であることを印象づける。
ワールドプレミアに合わせて、細田守監督と主人公の男の子 くんちゃん役の声を演じた上白石萌歌がカンヌに入った。海外経験豊富な細田監督だが、カンヌは初訪問。上白石萌歌は、初の映画祭参加というフレッシュな経験となった。
上映は監督週間部門のメイン会場である「シアタークロワゼット」で、8時45分にスタートした。850人収容の劇場は幅広い層の観客で埋め尽くされた。
本編上映後には、観客からの大きな拍手の中で細田監督と上白石が登壇し、観客に挨拶をした。細田監督は「どこにでもある一つの家族を通して、何百年、何千年と続く人生のループみたいなものを描きたいと思って作りました」と作品について語り、「アニメーションという表現で作る映画はまだまだやっていないことが多い」とし、今後も様々なことにチャレンジをし、表現していくとした。
上映後の観客の反応も好評を博したという。7月20日の日本公開はもちろんだが、今後の世界での活躍を期待させるのに充分なものとなったようだ。
世界に向けた細田守監督と『未来のミライ』のチャレンジは今後も続く。まず6月には再びフランスでの大きな舞台が待っている。世界最大のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭2018の長編部門コンペティションにも選出されている。この上映にあたっても、細田監督は現地を訪れる。
さらに今夏には、細田監督自身がアジア数か国を舞台挨拶ツアーとして巡る。日本と同時に世界でも『未来のミライ』をより身近に感じ欲しいというわけだ。夏の公開に向けてグローバルで、『未来のミライ』が盛り上がりそうだ。
『未来のミライ』
http://mirai-no-mirai.jp/