米国の大手アニメ配給会社ファニメーションが、中国のアニメ大手のビリビリの勝負作で手を組んだ。ファニメーションはビリビリが製作したウェブアニメシリーズ『天官赐福』を2020年10月30日から自社動画プラットフォームで配信開始した。現在は、ファニメーションがビジネス展開をする米国、カナダ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドが対象だが、今後サービスを開始するメキシコとブラジルにも拡大する。
ファニメーションは北米を中心に日本アニメを手がける大手で『ドラゴンボールZ』、『僕のヒーローアカデミア』、『進撃の巨人』などの数々のヒット作のライセンスを保有する。2019年夏にソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントが買収し、現在はソニーグループの傘下にある。
一方のビリビリは、日本アニメの配信では中国最大手だ。2009年の設立後に急成長、現在は中国のポップカルチャーを代表する企業である。近年は配信だけでなく、スマホアプリゲームやイベント、商品化などに積極的だ。
アニメ制作もそのひとつで、今回の『天官赐福』はビリビリ傘下の絵梦(HAOLINERS)が制作する。『天官赐福』は中国の人気BL作家・墨香銅臭の代表作のひとつで、当初から大きな力を入れて中国では好評を博している。今回はファニメーションの力を借りることで、自国産アニメの世界進出を目指す。
ファニメーションとビリビリは2019年春に世界戦略での提携を発表している。当初よりビリビリが製作するアニメスタイルの自国作品を、日本アニメファンとつながりが深いファニメーションの流通を活かして世界展開を狙うとみられていた。
今回はその第1弾となる。ファニメーション『天官赐福』の展開にあたっては、これまでは日本作品を表すことが多かった「Anime」の言葉を使い、中国初のアニメシリーズトファンに訴求する。
『天官赐福』の原作者の墨香銅臭は中国でヒット作が多く、これまでにも『魔道祖師』がシリーズアニメ化されて大人気となった。日本でもソニー・ミュージックソリューションズとアニプレックスが日本語版を制作し、今年9月にはWOWOWにて字幕版の放送を開始した。2021年1月には、吹替え版放送も予定する。
ファニメーションはソニー・ピクチャーズ系、ソニーはビリビリの株主でもある。現在は日本でのリリースは発表されていないが、今後は日本展開の可能性も高そうだ。中国アニメ業界の期待作だけに、日本での反響も気になるところだ。