東宝のアニメ製作事業通期売上げ261億円、前年比倍は「呪術」「ヒロアカ」など

ファイナンス決算

 2022年4月12日、東宝は2022年2月期の通期決算を発表した。前年は新型コロナ感染症の影響もあり減収減益となったが、22年2月期は増収増益と復調した。
 通期連結売上高は2283億6700万円で前年比19%増。営業利益は399億4800万円で78.0%増、経常利益は427億9000万円(76.9%増)、当期純利益は295億680万円(101.3%増)と利益面での伸びが大きかった。映画事業での『劇場版 呪術廻戦 0』の大ヒット、演劇事業での公演数の増加による利益の伸びなどが貢献した。

 また映画・映像事業でのアニメのパッケージ販売、商品化ライセンス、動画配信などの好調も業績を牽引した。なかでもアニメ製作事業の売上げは261億5400万円(103.2%増)とほぼ倍増となった。主力タイトルはテレビアニメ『呪術廻戦』、『僕のヒーローアカデミア』、『ゴジラ S.P』、『ハイキュー!』など。映画では『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』、『劇場版 呪術廻戦 0」があり、商品化権収入など製作出資の配分金収入が増加している。
 前年同期比で売上げが倍になったアニメ製作事業だが、実際はアニメ関連事業の業績全体に占める割合はもっと高いとみられる。前年比38.4%増で113億9600万円の売上となるパッケージ事業収入の中心は『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』を中心としたアニメ作品だ。出版・商品事業の47億8900万円(8.8%増)も、『劇場版 呪術廻戦 0』のパンフレットとグッズが好調でアニメのシェアが高そうだ。
 何よりも主力の映画製作・配給・興行で、アニメ映画の活躍が目立った。東宝の通年の興行収入はトップとなった『劇場版 呪術廻戦 0』(132.5億円)をはじめ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(102.8億円)、『名探偵コナン 緋色の弾丸』(76.5億円)、『竜とそばかすの姫』( 66億円)と上位4つをアニメ作品が占めたからである。このほかに『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』(34.1億円)、『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園』(17.7億円)も好調だった。

 業績好調もあり、東宝は引き続きアニメに積極的に取り組む方針だ。同日発表した「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」では、アニメ事業を経営の4本目の柱として重点的に取り組むとしている。
 目先の大型タイトルはテレビシリーズ第2期も決定している『呪術廻戦』、シリーズ第6期製作を発表した『僕らのヒーローアカデミア』、それにこの4月からスタートした『SPY×FAMILY』となりそうだ。劇場映画では2022年11月11日公開の新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』に期待がかかる。

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