米国の映画配給会社GKIDSは、2018年1月2日、湯浅政明監督の3本の劇場映画の米国配給権を獲得したことを明らかにした。2017年に日本公開された『夜明け告げるルーのうた』、『夜は短し歩けよ乙女』、そして2004年に公開された『マインド・ゲーム』である。
GKIDSは1月18日から米国ソルトレイクシティーで開催されるサンダンス映画祭で、『夜明け告げるルーのうた』と『夜は短し歩けよ乙女』の英語吹き替え版をプレミア上映する予定だ。世界最大のインディペンデント映画祭にて、湯浅政明監督がどのように受け入れられるか関心が集まる。また3作品とも、英語字幕版での劇場公開もする。
湯浅政明監督は大学卒業後、亜細亜堂を経て独立。現在は、自身のスタジオであるサイエンスSARUにて積極的に作品づくりをしている。
その斬新な映像と、意表を突いた演出に定評があり、今回GKIDSが配給する『マインド・ゲーム』は初監督作で出世作でもある。2004年の文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門大賞を受賞している。
その後もテレビアニメ『ケモノヅメ』、『四畳半神話大系』、『ピンポン THE ANIMATION』などでキャリアを重ねた。とりわけ海外のファンが多く、2014年には米国の人気カートゥーン番組『アドベンチャー・タイム』のエピソード「Food Chain」の監督・脚本・絵コンテを担当している。
そうしたなかで2017年に発表した『夜明け告げるルーのうた』はアヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門グランプリ(クリスタル賞)を、『夜は短し歩けよ乙女』はオタワ国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得。さらに湯浅監督への注目が増している。そんな注目の高まりにGKIDSが目をつけた。
GKIDSは小規模の配給会社ながら、良質のアニメーション映画のピックアップに定評がある。同社が配給を手がけた海外アニメーションから、米国アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートが多数輩出していることからその質の高さがわかる。『夜明け告げるルーのうた』と『夜は短し歩けよ乙女』が2018年に公開されれば、アカデミー賞へのエントリー資格も獲得し、ノミネートの可能性も広がる。
GKIDSを通じた湯浅監督の米国本格上陸は、2018年のアニメ界のトピックになりそうだ。