メディアドゥ第2Q売上高が前年同期の2.5倍 積極的なM&Aで急成長

ファイナンス決算

 デジタル書籍の総合企業メディアドゥホールディングスの事業が急拡大している。2017年9月1日の持株会社制移行後の初の四半期決算(2018年2月期第2四半期)が、10月13日に発表された。
 連結売上高は178億1900万円、72億円から一挙に147.5%増となった。営業利益は4億7200万円、経常利益は4億400万円、そして純利益は1億700万円である。営業利益は55%増、経常利益は32.5%増となった。ただし当期純利益は6.6%の減少となる。
 第1四半期はM&A関連費用がかさみ最終赤字であったが、一時費用がなくなったことから第2四半期からは早くも黒字に転換している。急激に会社組織を変化させている持株会社移行後のメディアドゥにとっては、順調なスタートとなる。

 メディアドゥは1999年に設立されたが、会社の成長は2006年の電子書籍事業の開始により後押しされた。なかでも電子書籍の権利などを取りまとめるアグリゲーション(コンテンツ取次販売)業務に強みをみせてきた。
 2017年に入ると3月に同業大手の出版デジタル機構を連結子会社化、またマンガ情報サイト運営のHONZや、コミックカーラーリングのアルトラエンタテインメントなどを次々に買収している。米国子会社やメディアドゥテック徳島といった新事業の子会社設立にも積極的で、一挙に売上げを拡大した。現在はデジタル書籍事業の大手として、今後のさらなる成長が期待されている。
 こうしたなかで、9月1日に社名をメディアドゥホールディングスに変更、これまでのメディアドゥの事業を本体から切り離し子会社メディアドゥ(新)とした。持株会社の傘下にメディアドゥや出版デジタル機構といった会社が並ぶ。

 組織体制の変更は、メディアドゥの事業戦略を反映させたものである。これまでは電子書籍の取次販売が中心であったが、さらに電子書籍のプロモーションや海外事業、新しいコンテンツ流通形態(電子図書館)などを目指す。
 多額の資金を投じるM&A戦略には、事業リスクの高さも感じさせる。一方、出版デジタル機構との経営統合で、電子書籍のコンテンツ取次販売では寡占状況を築く。今後はここから安定した収益を期待できる。安定事業を背景に、新事業に果敢に投資するメディアドゥの方向性が窺える。 

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