中国の映画ビジネス情報のエンタ・グループによれば、同国の2017年上半期興行収入は250億8100万元(約4140億円)で、2016年の245億8500万元(約4060億元)と比較して2%増と前年に引き続き低い伸びにとどまった。また中国映画の公開本数が98本と外国映画の57本を大きく上回るにも関わらず、興行収入全体に占める中国映画の割合は39%にとどまっている。
海外映画の多くは米国ハリウッド産の大作映画で、なかでも『ワイルド・スピード ICE BR』が上期の興収でトップとなる26億6900万元(約440億円)を叩き出した。また日本ゲームを原作とした『バイオハザード:ザ・ファイナル』も11億1100万元(約183億円)と好調だった。
興行収入の伸び悩みは、昨年から続く傾向だ。動員数の嵩上げを狙ったディスカウント幅の大きな割引チケットを抑制したことが原因のひとつとされている。
一方、期間中、中国公開された日本映画は『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』と『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』の2本のみであった。いずれもアニメである。このうち『映画ドラえもん』は好調で、6月末の段階で興行収入は1億4900万元(約24億6000万円)と日本映画で歴代3位を記録している。期間中公開されたアニメーション映画のなかでも、中国の『熊出没之奇幻空間』、米国の『SING シング』、『スマーフ The Lost Village』に続いて第4位となる。
『映画ドラえもん』の堅調な動向は、引き続き中国に日本アニメの劇場興行に大きな需要があることを感じさせる。しかし上期の公開本数2本は、昨年通期の9本公開に較べると、現段階では大幅減の印象が否めない。中国映画市場進出のハードルの高さを感じさせる。
2017年上期は、アニメーション映画全体にとっても、弱含みのシーズンとなった。2016年上半期はハリウッド産のアニメーションは、興収15億元超えの『ズートピア』、10億元超えの『カンフー・パンダ3』のビッグヒットがあり、映画『アングリーバード』も5億元を超えていた。
しかし、2017年の『SING シング』が最高で、2億1600万元(約35億6000万円)にとどまっている。これは昨年同時期に公開された同じイルミネーションスタジオの『ペット』の3億8900万元(約64億2000万円)を大きく下回る。『レゴバットマン ザ・ムービー』は4200万元(約6億9000万円)と厳しい数字であった。
ハリウッドメジャー以外では、ライカのストプモーション・アニメーションの傑作『Kubo and the Two Strings』が4400万元(約7億3000万円)だった。フランスの大手スタジオ・ゴーモンの『フェリシーと夢のトウシューズ』は4000万元(6億6000万元)となっている。
知名度が高く、集客力の大きなディズニー/ピクサーの作品の公開がなかったこともアニメーション全体が盛り上がりに欠けた理由にありそうだ。どういった作品の上映が許可され、どうしたかたちで公開されるのか、今後の動向も含めて中国市場は引き続き注視される。