2017年3月23日、東京ビッグサイトにて「国別マッチングフォーラム(中国編)」が開催された。アニメやマンガを中心とした日本と中国の業界団体・企業が集まり、講演やパネルディスカッション、交流会を行った。日本コンテンツの海外展開を支援するJ-LOP4事務局(VIPO)が主催するものだ。3月23日から26日まで、国内最大規模のアニメの総合イベント「AnimeJapan 2017」が同じ東京ビッグサイトで実施されるのに合わせたものである。
ステージイベントやファンに向けたメインエリアでの企業ブースが注目されがちなAnimeJapanだが、近年はビジネスの活性化にも大きな役割を果たしている。例年イベント時期に合せて、日本とのコンテンツ分野でのビジネス機会を探り、世界各国からビジネスパーソンが集まる。そこでより多くの企業を知り、ビジネスパートナーと知り合う機会として「国別マッチングフォーラム」が設けられた。
今回のフォーラムの特長は、マッチングの対象を中国企業に絞ったことである。近年、日本アニメの海外ビジネスは急拡大を続けているが、なかでも中国ビジネスは伸び率の大きさ、潜在マーケットの大きさから関心が高い。
そうした状況もあり、この日のフォーラムは事前の参加申し込みが早々に締め切られるほどの人気となった。当日も、会場は満員となった。
フォーラムでは、日本から6企業・団体、中国からは5企業・団体が講演をした。一社あたりの時間は15分と短いが、出来るだけ多くのビジネスを紹介するとの趣旨のようだ。
それぞれの情報量は限りがあったが、むしろテンポよく進むため、4時間にも及ぶフォーラムの長さを感じさせない。ビジネスマッチングという点では成功だろう。
中国側の講演は、団体や企業の事業紹介が中心であった。深い内容にはあまり触れず、それは個別のミーティングになってからということなのであろう。
より興味深かったのは、中国ですでにビジネス展開をする集英社、講談社、松竹、手塚プロダクション、日本アニメーションの実例だ。その発表からは、国内コンテンツ業界の中国ビジネスブームとは裏腹に、実際にはやはり多くの手がかかっていることがわかる。
例えば、集英社、松竹の2社が共に、代金の支払い回収の遅れについて言及しているのは興味深い。昨今、資金の国外流出に警戒を強める中国政府が海外送金に規制をかけていることが、ニュースで伝わっている。それがコンテンツビジネスの現場にもストレートに反映しているようだ。
このほか集英社からは、契約書はどの言語で作るのか、紛争が起きた時の所轄の裁判所はどこに置くのか、松竹からは中国では著作権と利用権の概念が曖昧になっているなど様々な課題が説明された。
中国ビジネスの可能性と同時に、ビジネスの難しさも提示した点で、価値の大きなフォーラムであった。そして、同時にそうした困難を克服してビジネスを続ける日本企業の存在に、勇気づけられる一日であった。