ジブリ美術館年報に高畑勲の“日本文化論”掲載 ウェブで無料閲覧可能
- 2016/8/16
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『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』『じゃりン子チエ』などの監督で知られる高畑勲の日本文化論が、ネットで公開されている。この文章は「なぜ日本では「マンガ・アニメ的なるもの」が発達したのだろうか-日本文化論-」と題されたものだ。
掲載場所はやや分かり難く、三鷹の森ジブリ美術館の公式サイトのなかにある財団法人の概要、さらにそのなかにアップされたPDF「公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団年報 2015-2016」の後半部分だ。報告書の附録との位置づけだが、10ページ以上にも及び、かなりのボリュームとなっている。
三鷹の森ジブリ美術館は、三鷹市、徳間書店、日本テレビ放送網などからなる徳間記念アニメーション文化財団が運営を行っている。あまり知られていないが、財団は美術館の運営に加えてアニメーション作品の収集やアニメーション文化の調査研究、啓蒙活動も実施している。その活動をまとめたのが、今回の年報だ。
高畑勲は財団の理事も務め、2015年10月には財団も協力する三鷹ネットワーク大学主催のアニメーショ ン文化講座「日本伝統文化に見るマンガ・アニメ的なるもの-その独自の発達と日本語-」の講義も担当した。4回にわたる講義は、「日本人はアリスの同類だった」「手の中の映画 連続式絵巻」「草双紙絵で筋を読む炬燵かな(松根東洋城)」「なぜ日本では「マンガ・アニメ的なるもの」が発達したのだろうか-日本文化論-」の4つのテーマで構成された。
今回、このうち講義のまとめとなる第4回の講義内容を中心にして、高畑勲自身が加筆・再構成したものとなっている。それだけに高畑勲のメッセージもストレートに伝わるに違いない。
文章では日本の「言語」と「文字」が日本文化に与えた影響から始まって、日本のマンガ・アニメ的な文化の発生を読み解いていく。さらに3.11にまで話は広がる。いかにも高畑勲らしい論理と共になぜ日本のマンガ・アニメ的ものが成立するかが説得力を持って語られる。そこには数々の傑作アニメを生み出した巨匠の視点も感じられる。
三鷹の森ジブリ美術館 http://www.ghibli-museum.jp/
なぜ日本では「マンガ・アニメ的なるもの」が発達したのだろうか-日本文化論-
高畑勲
(43 P目以降)
http://www.ghibli-museum.jp/docs/zaidannnenpou2015-2016.pdf