世界でトップクラスの映画会社であるウォルト・ディズニー・スタジオの2016年の映画興行収入が、2016年12月19日までに全世界で70億ドル(約8120億円)を突破した。ディズニーの本社のある米国とそれ以外の世界各地の興行収入を全て合算したもので、単独企業の記録としては過去最高になった。
数字はディズニーが配給したディズニー、ディズニー・アニメーションスタジオ、ピクサー・アニメーション・スタジオ、マーベル・スタジオ、ルーカス・スタジオの5つの製作会社の作品の興行によるもの。70億ドルのうち、米国内が27億ドル、国外が42億8800万ドルと海外のビジネスが売り上げを支えている。また合計数字は世界第2位の映画市場の中国の全興行収入7700億円より大きく、2300億円の日本の全興行収入の3倍規模だ。
ディズニーは記録的な売り上げについて、5つのスタジオが、それぞれ世界的な大ヒット作を生み出したことを理由に挙げている。ディズニーが『ジャングル・ブック』、ディズニー・アニメーションが『ズートピア』、ピクサーが『ファィンディング・ドリー』、マーベルが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 』、ルーカスが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』といった具合だ。
2016年の米国興収ランキングトップ10のうち、1位、2位、3位を含めて6タイトルをディズニー系で占めている。全世界でもトップの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 』をはじめ1位から4位までを独占、トップ10のうちは半分の5タイトルがディズニー作品と圧倒的な強さを発揮する。
映画業界では、米国カリフォルニアーに拠点を持つメジャースタジオと呼ばれる巨大映画会社のグローバルでのビジネスの大きさがよく指摘されている。しかし、近年は、ウォルト・ディズニーとワーナー ブラザースの好調が顕著で二社が一歩抜け出した感があった。
映画製作・配給・興行に限れば、2016年はディズニーがさらにその前をいくかたちにも見える。これは2006年のピクサー、2009年のマーベル、2012年のルーカスと相次ぐ大型のスタジオ買収の成果でもある。
巨額の映画は資金さえあれば制作できるが、世界的に人気の高いブランドコンテンツは一朝一夕には生まれない。そこで大型M&Aでこれを取得する。一方買収対象となったスタジオは、人気作品が多く、良質の作品に定評があるが、資金調達や作品の配給はさほど強くない。ディズニー傘下に入ることで、こうした部分を大幅に強化する。このふたつが組み合わさったうえでのヒット作の続出なのである。