テレビ朝日が米国の新興コミック出版社をグループ化、日米協業で作品開発

提携

 2024年7月9日、テレビ朝日は完全子会社で米国法人のTV Asahi America(テレビ朝日アメリカ)が、米国の新興コミック出版社Cincinnati Kidに出資したと発表した。出資比率、出資金額は明らかにされていないが、出資後は同社を持分法適用関連会社とした。
 Cincinnati Kidは2018年5月に、米国の独立系コミック業界で経験の長いDinesh Shamdasaniが創業した。Dinesh ShamdasaniがCEO/CCOを務める。Cincinnati Kidのこれまでの大口出資者の中には『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』などの監督でもお馴染みのアンソニー・ルッソとジョー・ルッソの兄弟が経営するスタジオのAGBOも含まれている。

 Cincinnati Kidは「BAD IDEA」のレーベルでアメリカンコミックを米国内で出版している。今後の出版予定も含めて、84 タイトルのオリジナル作品を保有する。自社オリジナルの開発に積極的だ。
 
 テレビ朝日は、近年、テレビ広告以外からの事業収入、放送外収入の拡大を目指している。なかでも幅広い二次展開のビジネスが期待出来るIP創出を積極的に掲げている。IP創出にあたっては積極的なM&Aにも積極的だ。
 2023年3月にデジタルコミック事業のBookLiveを、2024年2月にはキャラクターフィギュアの壽屋などに相次ぎ出資、持分法適用関連会社とした。特にマンガやキャラクター分野に注目していることが分かる。
 今回のCincinnati Kidへの出資では、そうした動きを海外にも広がる。テレビ朝日はテレビ朝日アメリカをグローバル市場に対するグループ拠点のひとつと位置づける。同社は今後、Cincinnati Kidと連携を深める。さらに日本と米国の有能なクリエイターの共創を実現し、これまでにない真新しい IP の開発に注力するとしている。米国の事情に通じたコミック出版社と連携することで、世界に通じる作品づくりを目指すことになる。コミック出版の先にはテレビ朝日の本丸である映像化も視野に入ってくるはずだ。

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