大手エンタテインメント企業KADOKAWAがアニメーション制作の強化をさらに進めている。2024年5月付けで、新会社のベルノックスフィルムズ設立を発表した。7月に営業を開始する。設立時の本社所在地は、千代田区富士見の角川第2本社ビルとなる。
ベルノックスフィルムズの主要事業はアニメーション制作で、KADOKAWAにとってはグループ子会社のアニメスタジオになる。KADOKAWAはこれまでに2018年にENGI、2021年にStudio KADAN、2023年にレイジングブルと3つのアニメスタジオ子会社を立ち上げている。また2019年にはキネマシトラスにも出資した。ベルノックスフィルムズは、グループ5社目のアニメスタジオになる。
代表取締役はゴンゾで代表取締役も務め、デイヴィッドプロダクションの創業メンバーでもあった梶⽥浩司氏が就任した。テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどがプロデュースの代表作だ。アニメスタジオ経営のベテランが新会社に取り組む。
これまでKADOKAWAは、アニメ業界のなかでも作品の企画・製作・配給を主要業務とするビデオメーカーとして存在感が大きかった。逆にグループ内に大手スタジオを抱えるバンダイナムコグループやソニーグループのアニプレックスに較べて、アニメーションの実制作機能がないのが弱みになっていた。それが過去5年あまりで次々にアニメスタジオをグループにすることで、アニメーション制作でも存在感が増している。
KADOKAWAグループは2028年3⽉期までの中期経営計画で、アニメーション制作の強化を掲げている。年間約40本の製作作品のうちグループ内でアニメーション制作するタイトルを5本から20本まで増やし、1タイトルあたりのシーズン数、話数も増やすとしている。野心的な目標だが、スタジオ新設やM&Aも積極的に活用することで実現を目指す。ベルノックスフィルムズ設立もこの一環だ。
現在アニメ業界では各社が事業拡大をし、アニメーション制作が増え、人材ひっ迫が深刻化している。業界内で相次ぐ新会社設立は、こうした状況に拍車をかけているとの指摘もある。
そうしたなかでKADOKAWAは、ベルノックスフィルムズでは役職や職域にとらわれない新たな仕組みを基に業界のさらなる発展を目指すと説明する。また梶田氏は新会社設立のコメントで「アニメーション制作業界を“システム的”で“合理的”なものにし、より“柔軟に成⻑”できるように尽⼒していきたい」と述べている。新しいスタジオは新しい作り方も目指しているようだ。
ベルノックスフィルムズ
https://bellnoxfilms.jp/