KADOKAWAがタイでマンガ・ライトノベルの翻訳出版事業拡大のための企業買収に乗り出した。現地でマンガ・ライトノベル翻訳出版をするグループ会社KADOKAWA AMARIN COMPANYが、同業のFirst Page Proの株式を取得し、子会社化することで2023年12月21日に合意した。
First Page Proの買収でKADOKAWAは、タイで最大のマンガ・ライトノベル出版グループを持つことになる。KADOKAWA AMARINとFirst Page Proの年間出版点数は500点を超える見込みだ。KADOKAWAは両社のシナジー効果により、利益の最大化が実現するとしている。
KAGOKAWAは近年、出版の海外事業展開を積極的に進めている。2016年には北米のマンガ・ライトノベルの有力出版社YenPressを子会社化、2021年にはライトノベルのJ-Novel Clubも買収している。
北米に加えてKADOKAWAが力を入れてきたのが、東南アジアである。2016年に日本マンガ・ライトノベル翻訳出版の現地法人KADOKAWA AMARINをタイに設立した。タイ語翻訳出版はKADOKAWA作品だけでなく日本の他出版社の作品も手がけて、現在は80名のスタッフで年間約400点超を刊行している。現地大手の一角を占める。
First Pageは2014年に設立、こちらも年間約120点超のマンガとライトノベルをタイ語翻訳出版する。特にコアファン層に向けた作品が得意だ。両社を合わせると、この分野ではタイ最大規模となる。
日本作品の翻訳出版以外の事業にも、両社には成長の期待がかかる。ひとつはKADOKAWA AMARINが、現在は日本以外の国や地域の作品のタイ語翻訳出版も拡大させていることだ。さらにグッズの生産販売、タイ作品の日本向けのライセンスアウトも行う。タイを中心としたポップカルチャーの総合企業を目指しているようにも見える。
First Page Proも自社開発したキャラクターグッズ販売など商品企画力に積極的だ。こうした分野でも両社のシナジーは期待出来そうだ。