アニメーション制作スタッフが参加する一般社団法人 日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)は、2023年6月9日~6月30日まで3854名を対象に「アニメ業界とAI(人工知能技術)に関する意識調査」を実施した。昨今、注目を浴びている生成AIについての考え方を問うものである。
回答者のうちアニメ業界従事者は394名で全体の11%を占めた。NAFCAでは回答を集計し、このほどその調査結果を発表した。
調査からはアニメ業界従事者には技術への期待がある一方で、無制限のAI利用に対する慎重な姿勢が窺える。また一般からの回答は業界従事者よりもAIの活用に対して厳しく、アニメ分野のAI利活用に対する逆風を感じさせる。
アニメ業界従事者への「AIの使用に関する規制について、あなたはどのように考えますか?」への回答は、57%が「全面的に/例外を除いて規制すべき」とした。非業界従事者の合計73.7%と較べると低いが、それでも過半数が何らかの規制が必要だと考えている。
NAFCAは従事者と非従事者との結果の違いについて、アニメ業界の慢性的な人手不足や長時間労働といった環境が影響しているのでないかとしている。生成AIの活用で制作現場が効率化の出来るのでないかと期待が一部であるというわけだ。
業界内外とも、特に懸念するのは権利関係のありかただ。たとえば、特定の個人の声を活用できる「ボイスチェンジャー技術」に対して8割以上が「規制が必要」と答えている。
また「著作権者がAI学習への読み込みを拒否する著作物のAIへの利用をするべきでない」との回答も8割を超えている。
実際にはアニメーション制作の現場でのAIの導入は、ほとんど進んでいない。しかし調査結果は、今後、開発・導入を進めるうえでの指針に参考になりそうだ。関係者やファンに対する説明と理解がAI技術の進展に不可欠でないかと思われる。
調査結果の詳細は、日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)の公式サイトで確認出来る。
日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)
https://nafca.jp/survey01/