アニメ分野の動画配信プラットフォームで世界大手のクランチロールが、インド市場の攻略を本格的化している。クランチロールはインド向けの配信において、現地言語での配信強化に乗り出した。
すでに吹替え配信が行われているヒンディー語に加えて、今後タミル語とテルグ語での対応も進める。インドは巨大な人口を持つが、英語だけでなく現地使用言語が多いことでも知られている。ヒンディー語は人口の4割強が第一言語として使用し、その数は5億人以上である。タミル語とテルグ語はそれぞれ6%、7%のシェアを占める。シェアは必ずしも高くないが、第一言語としての使用者はそれぞれ7000万人と8000万人である。特にタミル語圏は、インドで最も都市化の進んだ地域とされている。
クランチロールはこれまでにも、インド市場開拓に向けた施策を打ち出している。有料会員の支払いにおいて現地通貨ルピー立てを導入したほか、インドで視聴できる作品も拡充している。対応言語の拡大もそのひとつだ。
さらに今後は、インド国内で開催されるエンタテインメントイベントの参加にも積極的だ。ファンとのタッチポイントを増やすことが目的だ。
クランチロールはインドに力を入れる理由として、同国が世界で二番目に大きいアニメファン層を持っているためとしている。さらに今後の成長で、アニメ人気の拡大を牽引する国なるとする。
クランチロールのプレジデントであるラウール・プリニは、今年7月下旬にインド・ムンバイで開催された自社ファンイベントに自ら訪れた。イベントでは『呪術廻戦』のヒンディー語吹替え版で上映し、インドの有名スターで先頃クランチロールのブランドアンバサダーに就任したラシュミカ・マンダナとタイガー・シュロフが登場し、作品への熱い想いを語った。
クランチロールは日本アニメで急成長するプラットフォームで、世界200ヶ国・地域でアニメやマンガを配信する。世界での日本コンテンツの人気拡大の一翼を担っている。
すでに北米やラテンアメリカで存在感が大きいが、現在はさらなるグローバル市場の開拓に取り組んでいる。インドは世界最大の人口を抱え、経済成長率も高い。潜在的な巨大市場として近年、アニメなど日本のエンタテイメント企業から関心が増してい。積極的なローカル言語化でアニメの視聴者が増えて人気が増せば、そうした動きを強力にバックアップすることになりそうだ。