米国で公開された優れたアニメーション作品を顕彰するアニー賞の2022年度各部門のノミネートが1月18日に発表された。アワードは長編、シリーズ、短編、実写やゲーム内のアニメーションなど幅広い分野におよび、最優秀賞だけでも32部門になる。
このうち日本の長編映画からは、『犬王』が長編アニメーション(インディペンデント)部門、『犬王』の野木亜紀子が長編アニメーション脚本部門に選出された。長編アニメーション(インディペンデント)部門は、前回『竜とそばかすの姫』、『映画大好きポンポさん』、『漁港の肉子ちゃん』と5作品のうち3本を日本が占めたが、今回は1本にとどまった。
『犬王』は古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』を原作に、『マインド・ゲーム』や『夜明け告げるルーのうた』で知られる湯浅政明が監督した。中世の能楽師・犬王を主人公に一大ミュージカルに仕立てた話題作だ。
近年は日本で制作された作品も米国で広く配信されている。このため配信会社がアワードにエントリーすることからシリーズ作品のノミネートも増えている。
テレビ/配信などの監督賞にはNetflixのSFシリーズ『exception』の監督を務めたサトウユーゾーの名前が挙がった。日台のスタジオで遥か宇宙で人類が遭遇した危機をCGで描いた。手描きアニメではトリガー制作の『サイバーパンク: エッジランナーズ』第1話で金子祥之がテレビ/メディアのストリーボード部門の候補に挙がったのも注目される。
日本のスタジオを制作拠点としたトンコハウスの『ONI ~ 神々山のおなり』は、6部門ノミネートとなった。リミテッドシリーズの作品部門、キャラクターアニメーション部門、キャラクターデザイン部門、音楽部門、プロダクションデザイン部門、そして監督部門に堤大介の名前が挙がる。丁寧なアニメーションづくりが評価を受けた。
全体では引き続き配信作品の強さを感じさせるものとなった。長編作品賞ではNetflixの『ギレルモ・デルトロのピノッキオ』、『ジェイコブと海の怪物』、『ウェンデルとワイルド』、『エルマーのぼうけん』、ディズニープラスの『私ときどきレッサーパンダ』と配信限定作品が席巻している。
なかでも『ギレルモ・デルトロのピノッキオ』の評価が高く、9部門でノミネー、さらに『私ときどきレッサーパンダ』の7部門が続く。この2作品が2022年の米国のアニメーション業界を牽引したと言える。
2月25日には、UCLAのロイスホールにて授賞式が開催される。この場でノミネートの中から各部門の最優秀賞が発表される。
第50回アニー賞 ノミネート一覧
https://annieawards.org/nominations