韓国のアニメ制作会社スタジオミールが上場 2Dスタイルの有力企業

ファイナンス決算

 2Dアニメスタイルで、近年成長著しい韓国のアニメーション制作会社スタジオミールが2023年2月7日に韓国KOSDAQ (店頭市場)に上場した。公募価格は1株1万9500ウォン、上場初日は3万9000ウォンで始値をつけた後、5万700ウォンで引けた。公募価格の2.6倍と快調なスタートを切った。2月8日もさらに価格を切り上げて、5万9300ウォンをつけている。
 時価総額は7日終値で2610億ウォン、日本円で約260億円となった。年間売上高が約20億円のアニメーション制作会社としては破格の評価と言っていいだろう。

 マーケットからの高い評価は、韓国を代表するアニメーション制作会社として成長するスタジオミールへの期待を反映したものだ。
 スタジオミールは2010年に米国のテレビシリーズ『アバター 伝説の少年アン』のアニメーション監督も務めたユ・ジェミョンが設立した。当初から海外向けの制作受託が中心で、作品には『ブーンドックス』や『レジェンド・オブ・コーラ』、『ヴォルトロン(Voltron: Legendary Defender)』など高い映像表現で知られた作品が含まれている。ドリームワークスやニコロデオンなど大手メディア企業がクライアントになっている。米国だけでなく、中国で大ヒットになった『紅き大魚の伝説』もスタジオミールの制作だ。
 強みとしているのはセルルックの味わいのある2Dアニメーションで、日本のスタジオが得意とする映像に近い。そうした2Dスタイルを求める海外企業のニーズを取り込んでいる。

 2019年には韓国のアニメーションスタジオとしては初めてNetflixと長期間のパートナーシップ契約を結んだ。Netflixオリジナルタイトルとしては『ウィッチャー 狼の悪夢』、『DOTA: ドラゴンの血』を制作、2022年末にやはりオリジナルシリーズで人気ウェブトゥーンを原作とした『外見至上主義』がヒットしている。2023年には『スター・ウォーズ:ビジョンズ2』への参加を発表、新たにディズニープラスにも番組を供給する。
 独自性の高い企画開発にも関心を持ち、スタジオのブランドも世界に広がりつつある。今後のさらなる飛躍を期待させる。株式上場の成功によるファイナンス面での基盤も、今後の競争力を高めるものになりそうだ。

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