ツインエンジン2度目の大型資金調達、テンセント、アムタス、BookLiveが株主に

提携

 アニメ企画・製作のツインエンジンが第三者割当増資を通じて、資金調達を強化する。2022年8月29日、ツインエンジンは第三者割当増資を発表、テンセントグループ、アムタス、BookLiveの3社が引き受け先になる。
 ツインエンジンは資本提携を通じて、各社が持つゲーム・コミックなどの得意分野での事業拡大を目指す。第三者割当増資による資金調達金額や各社の出資比率、ツインエンジンの現在の評価額は公表されていない。ツインエンジンは2019年4月までにシリーズAを実施しており、今回のシリーズBはそれに続く大型資金調達だ。

 シリーズA、Bとはベンチャー企業投資の用語で、対象企業が実施する初期段階のAから段階を追ってB、C、D……としていく。通常はAからB、Cと進むに連れて、該当企業の企業価値(株式総額)は大きくなっていく。
 一般にシリーズA はベンチャーキャピタルや大企業の投資ファンドが出資することが多い。ツインエンジンではこのシリーズAの出資者は、これまで公表していない。シリーズB以降は、ベンチャー投資以外にビジネス協業が目指されることも多い。今回の資本提携にもそうした色合いが強く出ている。

 テンセントグループは、中国・深センに本社も持つグローバル規模のIT企業だ。特にゲーム業界では圧倒的な存在感を持つ。ツインエンジンでは、現在アニメの主要な収益源のひとつがゲーム化であることから、テンセントグループと協力することでグローバルでのゲーム事業への進出を目指す。ゲームを同社の基幹事業のひとつに育てあげる方向だ。
 アムタスとBookLiveの強みは、デジタルマンガになる。アムタスは「めちゃコミック」、BookLiveは「ブックライブ」と、それぞれ電子書籍のプラットフォームを運営している。両社との協力を通じて、自社オリジナルコンテンツとなるマンガ原作の開発を目指す。

 ツインエンジンは、2014年にフジテレビ出身の山本幸治氏が設立したアニメの企画・開発会社。スタジオコロリド、ジェノスタジオほか複数のスタジオを抱える。また『雨を告げる漂流団地』、『ゴールデンカムイ』、『ヴィンランド・サガ』、『どろろ』などの代表作がある。
 自社作品の製作出資とそれによる自社でのライセンス運用に力をいれるツインエンジンにとっては、今回の資金調達は大きな意味を持ちそうだ。同時に「原作開発」と「ゲーム」という、同社の今後の注力事業の方向性も見えてきた。

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