ペンタブレットの世界大手のワコムとペイントツール「CLIP STUDIO PAINT」を開発発売するセルシスが連携を強化する。ワコムとセルシスの親会社であるアートスパークホールディングス(アートスパークHD)は、2022年4月11日に資本業務提携を発表した。
セコムはアートスパークHDの第三者割当増資を通じて、4月28日付で同社の発行株式の5.03%を約16億円で取得する。第三者割当増資後、ワコムはさらに市場にて持株比率が10%を超えない範囲で株式を買い増しする予定だ。株式取得後は、ワコムはアートスパークHDの最大株主となる見込みだ。
両社によれば今回の資本提携の目的は、中長期的な協業体制を築くことで今後の成長性と収益性を実現することである。
ワコムはPCで絵や文字を描く際に利用されるデジタルタブレットとデジタルペンの世界的大手、全世界150以上の国と地域で利用されている。デザイン、アニメーション、マンガのデジタル制作ではデファクトスタンダードになっている。またアートスパークHDの売上げの8割を占めるセルシスは、イラスト・マンガ・アニメーションの制作ツールCLIP STUDIO PAINTを開発・発売する。CLIP STUDIO PAINTもマンガ制作や国内アニメのデジタルペイントで高いシェアを占める。
今回の提携を通じて、ワコム製品とCLIP STUDIO PAINTの様々な分野での連携と共同開発を目指す。クリエイターの利用が多いソフトとハードの大手が資本提携も含めての協業は、アニメ業界、マンガ業界からも注目を集めそうだ。
アートスパークHDは、今回調達する資金の全額を「CLIP STUDIO PAINT」の機能とサービス強化に充当するとしている。同社は21年12月にもLINE Digital Frontierを割当先とした増資で約15億円を調達している。
デジタルコミックやマンガ、イラストレーション、アニメーションのデジタル作画は、近年急成長市場になっている。相次ぐ資金調達と投資、そして連携でいち早い市場開拓を目指すことになりそうだ。