出版購買データのカタリスト第三者割当増資、株主に主要出版社並ぶ

カタリスト

 消費者の書籍購入データなどを分析、マーケティングなどに活かすCatalyst・Data・Partners(カタリスト)は、2021年11月18日に新たな第三者割当増資を用いた資金調達を発表した。発行した新株をKADOKAWA、講談社、集英社、ポプラ社の出版社4社が引き受ける。
 同社は2021年8月にも第三者割当増資を実施したばかり。この時は学研ホールディングス、小学館、日販グループホールディングス、富士山マガジンサービスの4社も出資者になっている。2回の増資と出資金額は明かされていないが、今回と合わせるともともとの出資母体であるカルチュア・コンビニエンス・クラブに新たに8社が株主に加わった。
 特にKADOKAWA、講談社、集英社、小学館の大手出版4社が株主に並んだのが注目される。出版大手が会社の枠組を超えてカタリストのビジネスの成長を支援する。各社がデータ分析分野が今後の出版産業の鍵となると考えていることが分かる。

 カタリストはカルチャー事業大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブが、2018年4月に設立した。TSUTAYA/蔦屋書店での購買動向、Tポイント会員7000万人のデータなどと出版社や取次、書店のデータを合わせることで様々なマーケティング情報を提供する。
 2022年春には、カタリストの書籍購買データ分析サービス「DB Watch」と、日本出版販売の出版社向けマーケット情報開示システム「WIN」を統合した新サービス「CANTERA」のスタートが予定されている。出版各社の出資は、こうした動きを見据えたものだろう。

 書籍販売チャネルでは外資系企業のアマゾンの取扱高が増加し、出版業界、特に流通面での存在感が増している。販売店の活性化は業界にとってありがたいが、一方でアマゾンの顧客データは外部で利用できない。出版社はマーケティングのためのツールを欠くかたちだ。
 そこで会員数が多く、情報量が豊富なカルチュア・コンビニエンス・クラブのデータを共有することで、これに対抗する狙いもありそうだ。近年出版業界が大きく変化するなかで、各社が新しいサービス、技術で連携する場面が増えているが、カタリストもそんなひとつとみられる。

株式会社Catalyst・Data・Partners
https://www.cdp-ltd.co.jp/

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