東映アニメーションは、ギークピクチュアズ、シナモンの2社とAIを使ったアニメの自動着色プロジェクトに参画する。AIの学習企画を利用して、アニメーション制作で手間のかかる彩色の作業を軽減する。
ギークピクチュアズは2007年に設立したコンテンツ企画・制作会社。シナモンは2016年に設立され、人工知能プロダクトと人工知能コンサルティングを手がけている。両社はこの1月に共同で「アニメーション自動着色AI」共同プロジェクトを立ち上げていたが、これに東映アニメーションが加わる。
東映アニメーションでプロジェクトの中心となるのは、製作部 テクノロジー開発推進室だ。プロジェクトで 開発に必要となるAI学習のための素材を提供する。AIは情報の蓄積(深層学習)により、その精度を高めていくが、そのためには実際に使われた素材が必要になる。この部分協力するかたちだ。また東映アニメーションでは、ここで開発された技術を自社作品で試験導入する予定だ。
「自動着色AI」のプロジェクトは、アニメ制作で工数のかかる着色の作業の負担軽減を目指すものである。テレビアニメでは30分枠のエピソードひとつでも、通常数千枚以上の動画があり、これに着色が必要になる。
現在はかつてのセル画と呼ばれる透明な板へのアクリル絵の具ではなく、PC上でのデジタルペイントとなったが、専門スキルを持ったスタッフの手作業であることは変らない。「自動着色AI」はこうした作業をAIを使って自動化することで、彩色のスピード化と生産性のアップを目指す。
制作工程ではまず、データとして取り込んだ動画のノイズを除去し、欠けている線画を補完する。それを画像認識でパーツ化して、着色箇所を決定する。さらにカットごとに参照画像を色づけると、AIが学習した参照カラーをもとに残りの動画を着色する。
発表によれば、AI 技術を活用することで96%の高い水準で着色精度が可能だという。また着色に関わる作業工程で必要時間を 1/10 に短縮し、コストも 50%以上の削減が可能になる。本格的な導入が可能になれば、アニメ制作の現場も大きく変わることになる。