東映アニメーションは2021年1月25日に、21年3月期第3四半期の決算発表をした。劇場映画の公開延期や催事の延期・中止、商品販売店舗の自粛などコロナ禍の影響を受けながらも、売上高利益とも一桁減少でとどまった。
第3四半期までの連結売上高は376億3200万円(9.1%減)、営業利益は119億200万円(2.7%減)、経常利益は121億6300万円(4.5%減)、当期純利益86億2400万円(3%減)だ。
事業別では映像製作・販売事業が売上高146億300万円(6.7%減)、営業利益41億7700万円(8.5%増)と減収増益。版権事業が売上高211億9700万円(2.5%減)、営業利益103億9100万円(1.0%減)の減収減益だ。
商品販売事業は大幅な減収減益で、売上高16億700万円(53.3%減)、営業損失が1億5900万円。前年あった劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』とのタイアップ・キャンペーンの販売の反動減や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で商品販売店舗の営業自粛をしたことも響いた。
大きな事業別では変化が少ないが、さらに細かな事業種別からは好調分野と伸び悩み分野の差が大きかったことが分かる。とりわけ伸び悩んだのは、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた分野である。
複数作品の公開延期の影響があった劇場アニメの売上高は5億6200万円と前年の14億4000万円から6割以上落ち込んだ。その他事業もイベント・催事の延期・中止があり、およそ6割の減収である。テレビアニメはゲーム向け音声製作や催事イベント向け映像製作がなくなり23億4400万円から16億6300万円まで下がった。
好調だったのは海外関連である。海外向けの映像販売は85億6700万円から17%増の100億1800万円。サウジアラビア向け劇場作品の納品があったほか、『ドラゴンボール超 ブロリー』の北米劇場上映権販売が伸び、北米・アジア向けの配信権も好調だった。
版権事業でも海外向けは15%増の115億4000万円。アプリゲーム化権で欧米向けに「ドラゴンボール」シリーズ、アジア向けで『スラムダンク』が好調だった。
この結果、第3四半期までで、売上高に占める海外事業比率は60%まで高まった。地域別ではアジアの伸びが鈍ってきた一方で、北米、欧州の成長も目立つ。
今回の決算を受けて東映アニメーションは、通期連結業績予想の上方修正も発表した。売上高は500億円から506億円、営業利益は100億円から140億円、経常利益は103億円から143億円にそれぞれ引き上げる。当期純利益は70億円から100億円に変更する。