日本アカデミー賞協会は、2021年1月19日に、第44回 日本アカデミー賞 特別賞各賞を発表した。このうち協会特別賞の3人の受賞者に安彦良和氏が選ばれた。
協会特別賞は、映画製作の現場を支える様々な仕事に携わるひとたちのなかからその長年の貢献を讃えて選ばれる。これまで第42回に大塚康生氏、第43回には小田部羊一氏が顕彰されている。受賞に対しての安彦氏の紹介では肩書を「アニメーター・キャラクターデザイン」としている。先に受賞したふたりも含め、アニメーターの仕事にスポットライトを当てている。
安彦良和氏は1947年生まれ、虫プロ養成所に入りアニメーターとなった。73年からはフリーとして『宇宙戦艦ヤマト』や『勇者ライディーン』、『無敵超人ザンボット3』など多くのアニメに携わった。キャリアの大きな転機となったのは『機動戦士ガンダム』だ。キャラクターデザイン・作画監督を担当した本作は大ヒットになり、安彦良和の名前を広く示した。
その後はアニメ監督・脚本にも進出、『クラッシャージョウ』、『アリオン』、『ヴイナス戦記』などを残す。さらに90年代以降はマンガ執筆にフォーカスし、『ナムジ』『王道の狗』を発表する。2001年にはマンガ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の連載をスタートする。本作に基づく『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』シリーズの総監督として再びアニメで活躍した。こうした長年の幅広い功績が顕彰されたかたちだ。
特別賞関連では、2020年11月18日に逝去した東映 代表取締役グループ会長で、東映アニメーションの取締役もつとめた岡田祐介氏が協会栄誉賞を受賞している。岡田氏はアニメ映画『手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-』の製作も担当した。
日本アカデミー賞は特別賞だけでなく、毎年、前年に公開された優れた映画作品、出演者、スタッフを顕彰している。2007年よりアニメーション作品賞も設けられており、昨年は『天気の子』が最優秀賞が選ばれた。
2021年も1月中に優秀アニメーション作品4本が選ばれ、さらに3月19日に東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールで実施予定の授賞式で最優秀賞が発表されることになる。
日本アカデミー賞
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