近年は、国内でもアメリカンコミックス(アメコミ)の人気が高まっている。翻訳出版点数も、かつてに比べるとだいぶ増えてきた。そのなかで2021年に向けて、この業界に大きな変化が起きる。
アメコミ翻訳出版大手の小学館集英社プロダクション(ShoPro)は、マーベル・コミックスとの2021年1月からの邦訳出版における新契約の内容を発表した。新契約で小学館集英社プロダクションは、日本におけるマーベルの新規のアメコミ邦訳版刊行を独占する。
また新規刊行作品は、全てデジタル配信でも対応する。アメコミは人気が高まる一方で、電子書籍への展開が遅れていた。現在はマーベル・コミックス、DCコミックスを初めほとんどのアメコミの翻訳版はデジタル配信に対応していない。これが大きく変わる。
マーベル・コミックスを展開するマーベル・エンターテインメントは、ニューヨークに拠点を持つ北米最大のコミックス出版社だ。『スパイダーマン』や『キャプテン・アメリカ』、『X-メン』、『アイアンマン』など数々のヒットシリーズを抱える。現在はウォルト・ディズニー傘下で、映画化やドラマ化、キャラクター、ゲームなども幅広く展開する。
ShoProは国内で、30年以上の長くにわたりアメコミの翻訳出版に積極的に取り組んできた。「ShoPro Books」レーベルで数多くの作品を手がける。マーベルとの新しい契約では人気作品をさらに囲い込む。
2021年はマーベルブランドでは、『続スパイダーマン/デッドプール』シリーズ、『スーペリア・フォー・オブ・スパイダーマン(仮)』、『ホワット・イフ?(仮)』、『シルバーサーファー:ブラック(仮)』、『コズミック・ゴーストライダー:ベイビー・サノス・マスト・ダイ』、『スパイダーマン/ファンタスティック・フォー』ほかの刊行をラインナップしている。いずれも電子書籍でリリースもする予定だ。さらに既刊でも電子書籍の配信をスタートする。
北米ではコミックスの電子書籍展開はまだ充分進んでいない。一方日本ではすでにデジタルマンガ出版が紙出版を超えるまでになっている。ボリュームのある作品も多いだけに、デジタル配信はファン待望だろう。いよいよアメコミも、日本で本格的なデジタル時代に突入しそうだ。
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