2020年11月20日から開催されている第7回新千歳空港国際アニメーション映画祭が、23日にコンペティション部門の受賞13作品を発表した。世界91ヵ国・地域から応募された2223作品から選ばれ、期間中に紹介された105作品から映画祭が選びだしたベスト作品である。長編・短編のグランプリを含む13の受賞作品を決定した。
映画祭は、11月20日から30日までリアル会場の新千歳空港とオンラインのふたつを会場に開催されている。昨今の新型コロナウィルス感染症拡大への対応のためだ。
23日はリアル会場の最終日にあたる。これに合わせてライブストリーミングチャンネル「SUPER DOMMUNE」の特別番組内でコンペティション授賞式を実施、全世界に配信した。
長編アニメーション部門のグランプリは、ラトビアのイルゼ・ブロコフスカ・ヤコブセン監督の『My Favorite War』が選ばれた。監督の幼少期の体験に基づいたドキュメンタリーアニメーションで、冷戦期のソ連占領下の生活を描く。ドキュメンタリー作品は、近年勢いのあるジャンルで世界の映画祭で次々に新しい傑作が生まれるが、また新たな才能が出現した。
監督はビデオメッセージにて映画祭にメッセージを届けた「日本においてアニメーションがとても重要なものであることは存じていますし、日本という非常に美しい国に、脈々と受け継がれてきた伝統があることも知っています。そのような国から、こうして賞をいただけたことは、これまでの受賞歴の中でももっとも感激させられました。」と喜びの言葉を語った。
短編アニメーション部門のグランプリは、イギリスのスティーブン・アーウィン監督による『Wood Child & Hidden Forest Mother』。これまで数多くの映画祭に出品されてきたが、グランプリ獲得は初になる。
アーウィン監督もビデオメッセージで喜びの言葉を伝えた。「グランプリに選んでくれて、どうもありがとう!とても光栄です。こんな状況ですから、賞をいただけたというのはいつも以上に嬉しく思います」。
また映画祭で上映された日本作品から選ばれる日本グランプリは、大学生作品『かたのあと』だった。学生作品からとなった。監督のふるかわはらももかが、東京造形大学の卒業制作として在学中に発表した『かたのあと』である。同性に感じるセクシュアリティをテーマにしている。
ふるかわはら氏は、特別番組にも姿をみせ「信じられない気持ちです。自分の描きたいことを注ぎ込んだ作品でした。ありがとうございます」と話した。
この他に新人賞にフランスのジェームス・モレ監督の 『Black Sheep Boy』J、学生部門は米国・ゴードン・ムーア監督の『Rain Pot』。さらに審査員特別賞、キッズ賞、ベストミュージックアニメーション賞、観客賞、新千歳空港賞、サッポロビール賞、DNP 大日本印刷賞、北洋銀行賞、北海道銀行賞、北海道コカ・コーラ賞、外務大臣賞、観光庁長官賞、北海道知事賞が設けられている。
オンライン開催は11月30日まで続く。期間中はアワード受賞作、コンペティションノミネート作品など150以上のアニメーションが有料プログラムとして視聴できる。
第7回新千歳空港国際アニメーション映画祭
公式サイト https://airport-anifes.jp/
長編アニメーション部門
グランプリ 『My Favorite War』 Ilze BURKOVSKA JACOBSEN(ラトビア)
審査員特別賞 『Kill It and Leave This Town』 Mariusz WILCZYNSKI (ポーランド)
短編アニメーション部門
グランプリ 『Wood Child & Hidden Forest Mother』 Stephen Irwin (イギリス)
新人賞 『Black Sheep Boy』 James Molle(フランス)
審査員特別賞(宇川賞) 『How to Disappear』 TOTAL REFUSAL(オーストリア)
審査員特別賞(田坂賞) 『Genius Loci』 Adrien Mérigeau(フランス)
審査員特別賞(AC部賞) 『Ecorce』Samuel Patthey, Silvain Monney( スイス)
学生部門
グランプリ 『Rain Pot』 Gordon Moore(アメリカ)
審査員特別賞 『Sura(修羅)』 Jeong Hae-ji(韓国)
キッズ賞 『ホネの折れる日』 Basil Vogt(スイス)
ベストミュージックアニメーション 『ANGKLUNG LIFE』 KOKOFREAKBEAN(アメリカ)
観客賞 『ごん』 八代健志(日本)