大手映画会社の東宝は、2020年10月27日にカナダに本社を持つIMAX コーポレーションとの包括契約合意を発表した。東宝が配給する邦画5作品での配給、興行、プレミアムシアターの活用でパートナーシップを軸にしたシナジーを目指す。
IMAXは高品質の映像・音響、その上映システムで世界的に知られている。カナダに本拠を持ち1615スクリーンのIMAX シアターをグローバルで展開する。
映画興行が体験型エンタテイメントの傾向を強めるなかで、上映システムや形態のグレードアップは作品ヒットので大きな鍵を握る。東宝のグループ会社TOHO シネマズは2014年にTOHO シネマズ新宿に初めてIMAX シアターを導入、現在は全国8 スクリーンを持つ。上映システムで世界トップクラスのノウハウを持つIMAXとの連携は、集客力を強化する点で東宝作品にとってメリットが大きい。
一方IMAXにとっては、東宝の配給力が魅力になる。日本は世界でも映画興行で国内作品が強い数少ない国である。ハリウッド系の強いIMAXにとっては、日本市場拡大には邦画配給で圧倒的なシェアを持つ東宝との協力が欠かせない。東宝とIMAXは2016年の『シン・ゴジラ』での協力で、IMAX興行収入6億円の成功を実現した。2019 年には『天気の子』ではさらに7.6億円に伸ばしている。
同時に5作品以上の複数作品包括契約を結ぶのは、ハリウッド映画スタジオ以外ではIMAX初となる。ここからも、IMAXの東宝重視が理解出来る。
包括契約の第1弾は10月16日に全国公開した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』である。すでにオープニング興行で歴代記録を振り返る大きなヒットになっている作品だ。東宝は本作をアニプレックスと共同配給している。
本作は興行全体だけでなく、IMAXでも記録破りとなっている。オープニングは国内IMAXスクリーンほぼ全ての38スクリーンで公開、IMAX上映オープニング興行で過去最高であった『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を超えた。10月26日時点でIMAXスクリーン興行収入は5.9 億円、さらに数字を積み重ねる勢いだ。
第2弾作品は11月20日公開の『STAND BY ME ドラえもん 2』を予定している。さらに他作品は2021年公開予定で、今後順次発表される。