日本では2019年7月19日に全国公開される新海誠監督の新作映画『天気の子』が、米国でも公開されることになった。米国の映画配給会社GKIDSが、日本公開に先駆けて本作の北米配給権を獲得したことが明らかになった。
2020年初めの北米公開を目指すという。また英語字幕版と英語吹替え版の双方での上映を予定する。日本アニメファン、そしてより広いファンへのアプローチを目指すことになりそうだ。
『天気の子』は、2016年に『君の名は。』で国内興行収入250億円の空前の大ヒットになった新海誠の3年振りの最新作である。家出して東京やってきた少年と不思議な力を持つ少女の恋物語を描く。前作のヒットを受けて、大きな期待がかかるこの夏の話題作だ。
『君の名は。』は日本だけでなく、中国などでも大ヒットし、世界興行収入も約400億円という大きな記録を築いている。しかし北米の興収は500万ドル(約5億5000万円)にとどまっている。ロサンゼルス映画批評家協会賞の最優秀長編アニメーション賞を受賞するといった高い評価は受けたが、米国アカデミー賞やゴールデングローブ賞のノミネートにはとどかなかった。
『君の名は。』の北米配給は日本アニメ・映画を専門とするファニメーションであった。話題づくりには成功したが、日本アニメファン以外へのリーチが弱い。これも影響したとみられる。
今回は北米でも大きなヒット狙いたいところだが、その鍵が配給会社のGKIDSになりそうだ。GKIDSも米国では中堅配給会社だが、専門は子ども向け映画とハイクオリティーの世界のアニメーションである。ファニメーションより一般層にターゲットが向けられている。
さらに強力なのが、アニメーション映画における業界でのネットワークの強さだ。これまでに11作品をアカデミー賞にノミネートさせた実績がある。前回ノミネートされた細田守監督の『未来のミライ』もGKIDSの配給だ。これまでアカデミー賞にノミネートされた日本アニメはディズニー配給とGKIDS配給しかない。それだけに『天気の子』の一般層への浸透と賞レースでの活躍が期待される。