米国のポップカルチャー情報のICv2とコミック情報のComichronは、2015年の北米のコミック市場が10億3000万ドルであったと発表した。これは両社の共同調査によるもので、コミック市場にはコミックのほかグラフィックノベルと呼ばれる単行本、日本マンガの翻訳出版、デジタル出版も含まれる。
市場規模は2014年比で10%増と大きな成長となった。近年は、大作映画のアイディアの供給源としても注目されるアメリカンコミックだが、そうした人気は原作にも及んでいるようだ。
発表によれば、成長を牽引したのはグラフィックノベルである。特に一般書店での販売が23%増、これは2014年の13%増に続く高い伸びとなった。グラフィックノベル全体の売上は5億3500万ドルである。アメコミがこれまでより一般層に浸透しつつあると言える。
さらに2015年は紙出版のリバイバルが意外なトレンドとして浮上したようだ。紙出版が全体の93%を占め9億4000万ドルになっている。これは前年の13%増となっている。
一方デジタルは9000万ドルで、2014年の1億ドルから10%の減少となった。2014年まではコミックのデジタル化は大きなトレンドであったが、意外な伸び悩みとなっている。北米におけるデジタルコミック市場は2009年に誕生、2011年に200%、2012年に180%成長を実現、これが2013年に29%、2014年に11%と急激に伸びが鈍化し、遂に初のマイナス成長となった。(数字はいずれもICv2)。
これは電子マンガ市場が急成長する日本とは対象的だ。7月27日にインプレスグループが発表した「電子書籍ビジネス調査報告書2016」では、日本国内のデジタルマンガ市場は1277億円で前年比8.1%増である。電子マンガだけで、北米のコミック市場全体を上回ることになる。
北米のデジタルコミックの市場は、かねてより配信での市場占有率の高かったComiXologyが2014年にAmazonに買収され、ComiXology/ Amazonがほほ独占するかたちだ。こうした市場の歪みも影響しているかもしれない。
これに対してComiXologyは2016年5月より、月5.99ドルの定額コミック読み放題サービスの開始で巻き返しを図っている。読み放題のタイトルには人気タイトルの『ウォーキングデッド』や『進撃の巨人』『ヘルボーイ』などが含まれている。映像ではNetflixやHulu、Amazonが成功したサブクリプションビジネスが起死回生になるかが2016年の注目だ。
ICv2
http://icv2.com/
Comichron
http://www.comichron.com/