モバイルネット事業の大手グリーは、エンターテインメント領域に特化したファンコミュニティ・プラットフォームの新しいビジネスを開始した。「Fanbeats」と名づけたサービスを、2019年1月23日にオープンした。
「Fanbeats」はファンコミュニティを活性化することで、アニメ企業やクリエイターのマーケティング活動を支援する。近年エンタテイメント分野の消費行動は、口コミやSNSなどのネット上でのファン活動の影響がますます強くなっている。しかし企業やクリエイターはそうしたトレンドを十分取り込めていない。今回のグリーの取り組みは、そこに一石を投じる。
「Fanbeats」のコンセプトは、エンターテインメント領域で商業活動を行う企業・団体・クリエイターと、これらを応援したいファンをつなぐというものだ。プラットフォームの開発にあたっては、グリーが長年蓄積してきたSNSとGREE Platformの開発・運営経験、さらにゲーム事業でのマーケティングノウハウを活用した。
主要な機能は、「クリエイターの発見」「クリエイターとのコミュニケーション」「ユーザー同志のコミュニケーション」になる。
プラットフォームは全体をアニメやマンガ、ゲームなど16のカテゴリーの分類している。ユーザーはこの中から応援したい企業やクリエイターを見つけてフォローする。
一方作り手側は、フォロワーしたユーザーに向けて密な情報発信が可能になる。プラットフォームには、新商品・イベントの事前予約を有料で行うことができるプロジェクト機能を装備されており。ファンのニーズを見極めながらプロジェクトを目指す。
またプラットフォームは、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカード、携帯キャリアといった多彩な決済手段を装備する。外部企業との連携により電子チケットの発行ではヤフー、シネコンの活用と映画配給ではイオンエンターテイメント、商品発送代行ではオープンロジ、旅行企画ではクールジャパントラベルといった各分野専門性が高い企業の協力も得られる。
スタート時点でアカウントを開設したのは30以上もの企業や団体だ。とりわけアニメ分野は充実している。
アニメ企画・制作からは、スロウカーブ、東映アニメーション、トマソン、トムス・エンタテインメント、日本アニメーション、ピコナ、フロンティアワークス、アニメビーンズ(プロダクション I.G)といった会社が並ぶ。一般社団法人アニメツーリズム協会、にいがたアニメ・マンガフェスティバル実行委員会、CGアニメコンテスト(DoGA)といった関連団体もある。講談社、ソニー・ミュージックエンタテインメント、テレビ東京コミュニケーションズ、DMM GAMES、Happy Elements、MAGES.といった企業もアニメファンにお馴染みかもしれない。
スタート当初からプラットフォームには多彩な機能が盛り込まれている。さらに今後はサブスクリプションによる直接課金や海外決済、コミュニティ機能を持つイベントカレンダー、プロジェクトでのマッチング機能などの導入も目指す。
これらをうまく使えば、ファンと直接つながる新たなビジネスの構築も可能になる。一方でこうした機能で一体何を、どうやるのか、具体的な例は現在ない。一体何をすればいいのか、企業側もユーザーも戸惑いがありそうだ。今後どんなサービスやプロジェクトが登場するのか、「Fanbeats」の成否はそこにかかってくるだろう。
Fanbeats https://fanbeats.jp/