日本映画・アニメの海外展開が叫ばれるなかで、近年拡大が著しいのが中国大陸である。2013年、14年には合作映画以外の中国公開のなかった邦画は、2016年、17年には各10本、さらに昨年2018年には15本まで拡大した。
中国政府が海外映画の枠を広げているのに加えて、『君の名は。』『STAND BY ME ドラえもん』などの大ヒットがあり、日本映画は稼げる作品とみられるようになったことも大きい。それでも2017年まではアニメが中心だったが、2017年に実写『銀魂』がヒット、さらに2018年には『万引き家族』が実写邦画最高のヒットになるなど実写邦画の上映が注目される。
【2018年 中国映画興行市場 邦画トップ10】
(単位:万元)
「ドラえもん のび太の宝島」 20900
「となりのトトロ」 15900
「名探偵コナン ゼロの執行人」 12700
「万引き家族」 9600
「DESTINY 鎌倉ものがたり」 4800
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 2800
「メアリと魔法の花」 2000
「ミックス。」 1800
「昼顔」 1400
「サバイバルファミリー」 1100
中国エンタグループ「中国票房」の数字をもとに、2018年の同国市場における日本映画の興行収入ランキングをまとめてみた。公開本数は15本、興行収入の総合計は約7億5500万元、日本円で120億円超の邦画興行の市場が中国にあることになる。なお公開予定リストに挙がっていた『さよならの朝に約束の花を飾ろう』と実写映画『銀魂2』の上映は確認できなかった。
2017年に較べて1.5倍もの上映本数になったが、これが実写映画の増加が大きい。15本のうち実写が8本、アニメが7本と実写が過半数となった。なかでもカンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた是枝裕和監督の『万引き家族』は9670万元(約15億円)と実写邦画の過去最高記録となった。
それでも強さを見せるのは、やはりアニメ映画である。邦画トップはシリーズが安定して人気の『ドラえもん のび太の宝島』、興行収入は2億900万元(約33億円)。
2位は日本公開から30年目で中国初公開になる『となりのトトロ』(1億5900万元)、3位は『名探偵コナン ゼロの執行人』(1億2700万元)だ。トップ3をアニメで占めた。ブランド力の強さがアニメの有利な点といえる。
その後に『万引き家族』、『DESTINY 鎌倉ものがたり』(4800万元)と続く。興行成績として及第点は、このあたりまでだろう。こうした実績が2019年につながるかどうかが注目される。