スペインを代表する映画祭、第51回シッチェス・カタロニア国際映画祭が、2018年10月4日から14日まで開催された。最終日には各アワードの受賞作品・受賞者も発表されたが、日本の細田守監督が4度目の栄冠に輝いた。
アニメーション部門の最優秀作品賞(Anima’t Best feature length film)を、細田守監督の最新作『未来のミライ』が受賞した。細田監督がシッチェスで同賞に輝くのは、『時をかける少女』第39回(2006年)、『サマーウォーズ』第42回(2009年)、『おおかみこどもの雨と雪』第45回(2012年)に続き、実に4回目となる。シッチェスと細田作品の相性のよさ、ヨーロッパでの細田守監督の評価の高さを感じさせる。
シッチェス・カタロニア国際映画祭は、1967年にスタート。ファンタジック映画の映画祭としては世界で最も有名なひとつである。しかし近年はSF、ファンタジー、ホラーに限定することなく、エンタテイメントの色合いの濃い作品をほとんどカバーするのがコンセプトになっている。
日本のホラーやアクション、SF、そしてアニメーションにも早くから目を向けてきたことでも知られる。黒沢清や三池崇史、塚本晋也らの海外における知名度アップに一役買ってきた。アニメーション分野では、それが細田守というわけだ。
2018年の長編アニメーション部門のコンペティションは、全部で10作品。巨匠ミッシェル・オスロ監督の『デリダ・イン・パリ』や、イランの大作『ラスト・フィクション』、審査員特別賞を受賞したブラジルの傑作『TITO AND THE BIRDS』(Gabriel Bitar/Andre Catoto/Gustavo Steinber)などがラインアップされた。
しかし存在感が大きいのは、日本のアニメだった。『未来のミライ』のほか、『君の膵臓をたべたい』、『リズと青い鳥』、『ペンギン・ハイウェイ』と全体の半分を占めた。日本アニメへの関心の大きさも現れた。
一方で短編アニメーション部門のコンペティションは14本。残念ながら日本からの作品はなかった。最優秀賞に輝いたのは米国の『THE WHEEL TURNS』(Sang Joon Kim)である。短編部門の審査員特別賞はフランスとトルコが合作したストップモーション『UNTRAVEL』(Ana Nedljkovi/Nikola Majdak Jr)が選ばれた。
日本からは『未来のミライ』以外でも、様々な分野で受賞が相次いだ。最優秀特殊効果賞には『いぬやしき』CGディレクターであるデジタル・フロンティアの土井淳氏が、最優秀音楽賞には『斬る、』の石川忠氏。
またファンタスティック・ディズカバリー賞は、岡田麿里監督の長編アニメ『さよならの朝に約束の花をかざろう』が受賞している。同作は上海国際映画祭でも長編アニメーション映画のグランプリにあたる金爵奨を獲得している。