世界四大アニメーション映画祭として知られる広島国際アニメーションフェスティバルが、2018年8月23日から27日まで開催された。隔年開催ということもあり2年ぶりの開催になった。悪天候のなかにもかかわらず世界各国からアニメーション作家が訪れて、期間中は盛り上がりを見せた。
会期の最終日となる27日には、広島市内のJMSアステールプラザにて、グランプリをはじめとする各賞が発表された。
審査を担当したのは4名、カナダ出身で国際的な監督のイシュ・パテル氏、アニメーション監督でグラフィックアーティストでもあるエストニアのプリート・パルン氏、ロシアのアニメーション作家オクサナ・チェルカソワ氏、スイスのアニメーション作家イザベル・ファヴェ氏と大物が並んだ。これに日本のベテランプロデューサー丸山正雄氏が審査委員長として加わる。
丸山氏は今回の選考にあたって、「それぞれのアニメーションの表現の自由さに圧倒されました。美しく魅力的な世界のなかにも、かなり挑戦的な新しい映像を展開したものも多く」と講評している。
今回、コンペティション作品となったのは、世界中から応募された2842作品から選ばれた75本。さらにその中から審査委員の厳しい眼のなかでルーマニア出身のセルジウ・ネグリチ監督の『ザ・ブリスフル・アクシデンタル・デス』が見事グランプリに選ばれた。
本作は70年前に遡るラブストーリーを、ストップモーション、手描き、2DCG、3DCGといった多彩な手法で表現する。15分間の映像の激しい変化がみどころとなる。
愛と平和をテーマにした作品に与えられるヒロシマ賞には、ハンガリーの学生であるユディト ヴンデル監督の『ボンド』が選ばれた。新人監督に与えられるデビュー賞は、フランスのCGアニメーション学校MOPAの学生による『シロッコ』となった。
木下蓮三賞はフランスのロレン・ブライバン監督の『ジ・オゥガー』、観客賞はベルギーのブリット・ラース監督の『キャサリン』である。このほか国際審査委員特別賞7作品、優秀賞5作品と受賞作品が多いのも広島の特長になっている。受賞は全部で17作品となったが、優秀賞の『プリーズ・フロッグ・ジャスト ワン・スィップ』 (ディック・グローブラー監督)の南アフリカを除く全てがヨーロッパ作品で占められた。
広島国際アニメーションフェスティバル
http://hiroanim.org/
■ グランプリ
『ザ ブリスフル アクシデンタル デス』 (The Blissful Accidental Death)
セルジウ・ネグリチ監督 (ルーマニア)
■ ヒロシマ賞
『ボンド』 (Bond)
ユディト・ヴンデル監督 (ハンガリー)
■ デビュー賞
『シロッコ』 (Sirocco)
監督:ロマン・ガルシア、ケヴィン・タルピニアン、トマス・ロペス-マシィ、アヴリル・ユブ、ロラン・マデック (フランス)
■ 木下蓮三賞
『オゥガー』 (The Ogre)
ロレン・ブライバン監督 (フランス)
■ 観客賞
『キャサリン』 (Catherine)
ブリット・ラース監督 (ベルギー)
■ 国際審査委員特別賞
『XOXO ハグ アンド キス』 (XOXO hugs and kisses)
ヴィオラ・ソヴァ監督 (ポーランド)
『エニグマ』 (AENIGMA)
監督: アンドニス・ドゥシアス、アリス・ファツロス (ギリシャ)
『ザ ポケット マン』 (The Pocket Man)
アナ・チュビニーゼ監督 (スイス/フランス/ジョージア)
『ゴールデン オールディーズ』 (Golden Oldies)
監督: ダン・ヴェルシンク、ヨースト・リウマ (オランダ)
『ザ ロスト ガーデン』 (The Lost Garden)
ナターリア・チェルニェソヴァ監督 (フランス)
『ビトゥイーン ザ シャドウズ』 (BETWEEN THE SHADOWS)
監督: モニカ・サントシュ、アリス・ギマライシュ (ポルトガル/フランス)
『マニヴァルド』 (Manivald)
シンティス・ルンドグレン監督 (クロアチア/カナダ/エストニア)
■ 優秀賞
『スレッズ』 (Threads)
トリル・コーヴ監督 (カナダ/ノルウェー)
『キャサリン』 (Catherine)
ブリット・ラース監督 (ベルギー)
『ヘイト フォア セール』 (Hate for Sale)
アナ・エイスバウト監督 (オランダ)
『プリーズ フロッグ、ジャスト ワン スィップ』 (Please Frog, just one sip)
ディック・グローブラー監督 (南アフリカ)
『サイクリスツ』 (Cyclists)
ヴェリコ・ポポヴィチ監督 (クロアチア/フランス)