アニメーション制作の地方拠点の設立が増加する中で、国内有数の人気スタジオがまた新たな地方進出を果たす。アニメ製作・出版のIGポートは、グループ会社のウィットスタジオ(WIT)が茨城県つくば市に新しくWIT茨城スタジオを開設すると発表した。
WIT茨城スタジオは、子ども向の作品の作画を中心に手がけることになる。2018年はWIT本社と協力しながら、まず劇場アニメ『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』の作画協力をすることが決まっている。その後も子ども向けアニメの作画協力を予定する。
WITは2012年に、プロダクション I.Gの若手が中心になり設立された。IGポートの連結子会社として、これまでに『進撃の巨人』、『甲鉄城のカバネリ』、『魔法使いの嫁』といったヒット作のアニメーション制作をしてきた。クオリティの高い映像づくりに定評がある。
スタジオは本社のある東京都武蔵野市が中心だ。同じグループ会社のプロダクション I.Gはすでに新潟にスタジオを持つが、WITの地方スタジオ進出は今回が初となる。
茨城での設立についてIGポートは、WITの取締役である浅野恭司氏、中武哲也氏が茨城県出身で縁が深いことを理由に挙げる。さらに2013年から茨城県古河市で「浅野恭司原画展」を毎年開催し、2018年1月には「WIT STUDIOアニメワークス展」も開催されているなど近年地域との関係を深めている。
そうしたつながりの中で茨城県つくば市の「産業振興センター」でスタジオの開設準備を進めてきた。新スタジオでは、地域に密着した良い作品を安定的に制作する人材育成を目指すとしている。
近年、アニメ業界では、地方に制作拠点を設置することが増えている。業界でアニメーターや背景などのスタッフが不足するなかで、自社スタッフの確保を狙ったものだ。
しかし、アニメ制作の中心地である東京近郊では、スタッフの確保は容易でない。そこで地方での人材発掘と育成が目指すことになる。東京中心と見られていたアニメ産業だが、いまは次第に地方に広がりつあるようだ。