1974年から75年にかけて松本零士が発表したマンガ『宇宙戦艦ヤマト』が、米国で初めて翻訳出版されることになった。米国で日本マンガやライトノベルの翻訳出版を手がけるセブンシーズ・エンタテインメント(Seven Seas Entertainment)は、2018年10月に『宇宙戦艦ヤマト』のマンガを発売すると発表した。
日本では全3巻刊行された作品だが、これを1冊にまとめてハードカバーとする。価格は29.99ドルと日本円で約3300円となる。豪華版の位置づけだ。
『宇宙戦艦ヤマト』のアニメは、最初のテレビシリーズが『Star Blazers』としてテレビ放送されている。その後の作品も様々なかたちで米国にて紹介されてきた。しかし、テレビシリーズとほぼ同時に連載された松本零士のマンガは、これまで米国で刊行されてこなかった。今回が松本零士の『宇宙戦艦ヤマト』が米国で発売される初となる。
セブンシーズは2004年に設立された日本マンガの出版社だが、現在はマンガの他にライトノベルなどの翻訳出版も手がける。米国での日本マンガの翻訳出版は2000年代後半の不況を挟むなかで、小学館・集英社系のVIZ Media、講談社の米国法人、そしてKADOKAWAのグループ会社となったYenプレスと日系企業シェアが広がった。
そのなかでセブンシーズは、米国系の翻訳出版会社として存在感を示す。いち早く新市場であるライトノベルやアニメのコミカライズ作品を開拓したこと、他社が手を伸ばさないコアなタイトルをピックアップして人気作品とするのが得意なためだ。
古典作品も、セブンシーズの差別化戦略のひとつである。多くの日本マンガが翻訳出版されている米国であるが、発売時期のずれ、読者に馴染み薄いこともあり、90年代以前のマンガは、よく知られた巨匠の傑作でも翻訳出版されてないものも多い。
セブンシーズは大手出版社ではあまり扱わないこうした巨匠の傑作をクラシックシリーズとして刊行している。ラインナップには同じ松本零士作品から『宇宙海賊キャプテンハーロック』や『クィーン・エメラルダス』、また永井豪の『デビルマン』、『キューティーハニー』といった作品もある。『宇宙戦艦ヤマト』が現代の米国の若者にどのように受け入れられるのかも気になるところだ。