サイバーエージェント×林士平 漫画家育成アパートメントプロジェクト開始 才能発掘を目指す

 「MANGA APARTMENT VUY」

 サイバーエージェントと敏腕マンガ編集者として知られる林士平氏が、新しい才能発掘を目指したユニークな取り組みをスタートさせた。サイバーエージェントは、マンガ家志望者だけを対象にした居住施設「MANGA APARTMENT VUY」のプロジェクトを開始する。2025年3月の入居開始に向けて、入居志望者の募集を開始した。
 「MANGA APARTMENT VUY」では、居住費や光熱費などの費用はVUYが全て負担、食費や生活費もサポートする。未来に可能性のあるマンガ家に、マンガを描くことだけに集中できる環境を提供するとの考えによるものだ。

 寮長・プロデューサーとして林士平氏がプロジェクトに参加する。林氏は2006年以来、集英社の編集者として『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』『ダンダダン』など数々の人気作品を生み出してきた。現在は、ミックスグリーン代表取締役として「少年ジャンプ+」の編集にも携わる。
 林氏は「MANGA APARTMENT VUY」について、「ただ夢にだけ向き合うことができる場所があったら? このプロジェクトは、そんな妄想から始まりました」とする。これまで才能があるにもかかわらず経済的な理由からマンガ家を諦めなければいけない人にも出会ったことがあることも「MANGA APARTMENT VUY」実現の理由として説明する。
 そのうえで本気でマンガ家を目指す人たちが集まることで、才能が育ち、切磋琢磨し、新たな作品が生まれることを期待する。こうした林氏の夢にサイバーエージェントが賛同することで、「MANGA APARTMENT VUY」のプロジェクトが実現した。

 サイバーエージェントにとっては、いち早く才能のある作家を見つけて、囲い込む狙いもありそうだ。入居期間中は各人の担当編集はVUY編集者チームのみとし、VUY編集者チームが提示するマンガ賞に応募することを条件としている。
 近年はマンガを軸として、アニメ化、映画化、ゲーム化、商品化などのビジネスが世界的に拡大している。サイバーエージェントはエンタテインメント分野での事業展開を積極的に進めるが、人気作品の多くは歴史の長い出版社が刊行している。
 「MANGA APARTMENT VUY」では作品よりも先にまず才能のある次世代の作家を育て、強いつながりを築く狙いがあるだろう。長期的なプロジェクトとなるが、これまでのマンガ育成の枠を超えた野心的な試みになる。

 マンガ家志望者には破格の条件だけに、応募はかなり多くなりそうだ。応募にあたっては、自身の描いたマンガ原稿と書類が必要となる。書類審査を通過すれば面接になる。2025年1月末に入居者を決定予定、20名から30名を想定しているとする。2025年4月から本格始動することになる。

MANGA APARTMENT VUY
https://vuy.jp

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