中東・アラビア語圏で日本マンガの翻訳出版をするサウジアラビアのマンガアラビアが、日本法人「マンガインターナショナル合同会社」の設立を発表した。設立にあたっては都内で式典も行われ、今後のビジネスへの強い意気込みをみせた。
またサウジアラビアと日本から出版やメディア、関連機関の関係者らが式典に多数出席した。両国による、日本マンガの海外展開協力の強さをアピールした。
マンガアラビアは、サウジアラビアの大手出版・メディアゴロマリットのサウジ・リサーチ&メディアグループの傘下にある。現在は中東地域で子どもと若者の双方に向けたマンガ雑誌「マンガアラビア」を刊行している。掲載作品の中心は、日本マンガの翻訳作品だ。掲載にあたりマンガアラビアは、講談社、集英社、小学館、KADOKAWAなどの日本の大手出版社とパートナーシップを結んでいる。
「マンガアラビア」の印刷版は毎月40万部以上が無料で配布され、またデジタル版は世界195ヵ国以上で800万人のユーザーがいる。日本マンガの海外普及にも一役買っている。
日本法人設立は、こうした事業をさらに推し進めることが目的である。マンガインターナショナルはマンガアラビアの経験を活かしながら、多言語展開により日本マンガ漫画をさらに国際展開するとしている。同時に地域性に基づいたコンテンツ開発やマンガを通じたサウジアラビアやアラブの文化・伝統の発信にもつなげるとしている。マンガアラビアがこれまで行ってきたサウジアラビア小説のマンガ化なども実施する。
サウジアラビアは、近年、国の新産業としてエンテイメント産業の育成・振興に力を入れている。アニメーションやマンガ・コミックもそのひとつで、そのパートナーとして日本のアニメ企業やマンガ出版との提携に積極的だ。アラブ地域、そしてグローバルでの日本アニメ・マンガの人気に目をつけてものだ。
今回の新会社設立もその流れにある。日本の有力作品の権利獲得、同時に自国の関連文化のためのクリエイティブとビジネスのノウハウ吸収に狙いがあるとみられる。