宮崎駿監督の長編アニメ映画『君たちはどう生きるか』が、2024年4月3日に中国で全国公開される。中国の映画会社最大手のアリババ・ピクチャーズ・グループが配給を手がけ、IP FORWARDがプロモーションなどに協力する。
映画のタイトルは、『你想活出怎様的人生』となった。欧米や日本と中国以外のアジアでは原題とは大きく異なる「少年と鷺」の意味のタイトルをつけたが、中国では日本語タイトルに寄せてきた。
アリババ・ピクチャーズはこれまでにスタジオジブリ作品の映画配給はないが、米国アカデミー賞受賞の話題作だけに、大掛かりな興行が期待出来そうだ。実際に主人公・真人役の声には人気俳優でヒットシリーズ「唐人街探偵」で主役を務めた劉昊然を起用、この他に高圓圓や朱亜文、張含韻、陳建斌と大物俳優・女優で固めている。相当に力を入れているとみていいだろう。
宮崎駿監督、スタジオジブリの映画は、これまでも中国で『千と千尋の神隠し』、『となりのトトロ』などが公開されている。2019年公開の『千と千尋の神隠し』は5億元近くもの興行になり、中国で公開された日本映画のなかでも上位につけている。しかし、こうした作品は日本公開から十数年、あるいは何十年も後に公開されたものである。
今回は日本公開から約8か月後、日本でもいまだ続映中というなかでの公開だ。宮崎駿監督の人気、そして話題の大きさから、興行結果にも関心が集まるはずだ。
また上海では同時期の4月12日からスタジオジブリをテーマにした体験型ミュージアム「スタジオジブリ・ストーリー」の実施も決まっている。こちらも話題づくりに一役買うだろう。
『君たちはどう生きるか』は、国内では2023年7月14日に公開、24年3月24日までに興行収入は91億円を超える大ヒットになった。また北米では23年12月8日に『The Boy and the Heron(少年と鷺)』のタイトルで公開され、週末興行で1位になった。スタジオジブリの映画としては過去最大のヒットである。今年3月には米国アカデミー賞長編アニメーション映画賞も受賞している。
また直近では、日本、北米、中国を除く地域で、Netflixが世界独占配信権を獲得することが発表されている。公開から8カ月しか経っていないが、中国は『君たちはどう生きるか』が上映される最後の巨大市場となる。